今回は、パートの人が債務整理する際の方法や注意点について解説します。
借金の理由は人さまざまです。
パートの収入でも家計の支出が間に合わないために借金してしまうケースもあれば、買い物依存症などになってしまって借金を繰り返してしまうこともあるでしょう。
しかし、パートはフルタイムの労働者に比べれば自由に使えるお金も多くありません。
クレジットカードの利用額が限度額まで膨らんでしまうだけでも、返済に行き詰まってしまうことも少なくないでしょう。
また近年では、銀行もカードローン商品を増やし消費者向けの融資に力を入れています。
「消費者金融・サラ金は怖いけど、銀行なら安心」と気軽な気持ちでした借金が返せなくなってしまうこともあると思います。
ここ数年は、消費者金融よりも銀行からの借金による自己破産者の方が多いのが実情です。
返せなくなった借金は債務整理で解決することがベストです。
しかし、パートの人の場合には、「収入が少ない」、「身分が不安定」といった理由から「債務整理できない」と思い込んでいる人も多いようです。
「パートだから債務整理できない」ということは全くありません。
借金がかなり深刻な状況になる前に債務整理に着手できれば、配偶者などの家族に知られずに、自分のパート収入(と家計のやりくり)だけで借金問題を解決することも十分可能です。
また、大切なことなので最初に結論からお伝えします。
『1年以上、借金の返済総額が減っていないor増えている。』
『このまま借金を完済するのは厳しいのは分かっているけど、利息だけ毎月支払うような状態が1年以上続いている。』
このような状態になっている方は、既に黄色信号が点滅している状態です。
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借金問題は先送りにすればするほど、状況は悪化するだけ。
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それでは解説をしていきます。
債務整理の方法
アコムやプロミスなどの「消費者金融からの借金」や「銀行カードローン」、「クレジットカードの利用額」を返済することが難しくなったときには、債務整理で解決するのがベストの方法です。
債務整理の方法には、
- 「任意整理」
- 「特定調停」
- 「個人再生」
- 「自己破産」
この4つの方法があります。
債務整理は、収入・借金の状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。
なお、「パートだから利用できない」という債務整理の方法はありません。
その場しのぎの自転車操業はほとんど破綻する
借金の返済に苦しんでいる人には、借金返済のためにさらに借金する人も少なくないようです。
たとえば、アコムの返済日に手持ちのお金がないときに、プロミスから借りて返済するということです。
このような返済のためにさらに借金することを「まわし」とか「自転車操業」とよんでいます。
しかし、自転車操業は借金返済を先延ばしにしているだけなので、借金を返せていません。
むしろ、完済が先に伸びたことで利息の負担が増えています。
また、自転車操業の原因は、慢性的な収入不足であることが多いため、返済分以上に借金してしまう人も少なくないようです。
自転車操業によって借金がさらに増えるというのは悪循環でしかありません。
任意整理で借金を解決する場合
任意整理は最もスタンダードな債務整理です。
簡単に説明すれば、任意整理は「借金を返しやすくするための交渉」を債権者と個々に行う方法です。
借金の返済は、毎月の利息の負担が重すぎることが原因で行き詰まってしまうことが少なくありません。
そこで、任意整理では、債権者に対して「今後の利息の免除」をお願いします。
たとえば、アコムから50万円借金しているときには、月7,500円(年18%の利率の場合)の利息が発生します。
毎月の返済額(13,000円の場合が多い)の半分以上が利息で消えてしまっています。
利息の負担がなくなれば、借金は返済した分だけ確実に減っていきます。
任意整理では、利息の免除に加えて、借金残額の「分割返済のやり直し」もお願いします。
すでに過去の延滞で「期限の利益」を失い一括弁済を請求されている場合でも、任意整理が成功すれば分割払いをやり直すことができます。
任意整理した場合の毎月の返済額
一般的な任意整理では、36回(3年)から60回(5年)の分割で借金残額を返済します。
利息がなくなれば、返済回数は長いほど毎月の支払い額を減らすことができます。
たとえば、借金の残額が180万円であっても、5年分割の任意整理が成功すれば、「毎月3万円」の返済で借金を完済することができます。
消費者金融や銀行カードローンから180万円の借金をしているときには、毎月の返済額が5万円を超えていることが一般的です。
任意整理すれば、毎月の支払額を2万円以上減らせる可能性があります。
上の表は、借金の残額ごとの任意整理での毎月の返済額をまとめたものです。
毎月2~3万円程度まで返済額を減らすことができれば、パートでの収入と家計のやりくりで返済可能な場合も少なくないでしょう。
任意整理なら家族に知られずに借金を解決することも可能
任意整理のメリットは、裁判所を用いることなく借金を解決できることにあります。
裁判所を使わないため、費用が節約でき、他人に知られるリスクも軽減できるからです。
弁護士・司法書士に任意整理を依頼すれば、債権者とのすべてのやりとりを任せることができます。
債務整理を依頼すれば、債権者から債務者に直接連絡がくることもなくなります。
したがって、自分の収入だけで解決できるのであれば、家族に知られずに借金問題を解決することも可能といえます。
任意整理ができない場合
任意整理は「債権者との私的な話し合い」に過ぎません。
したがって、「交渉のテーブルにつくかどうか」、「どのような条件なら任意整理(和解)に応じるか」は債権者の自由な判断によります。
たとえば、「借りてからほとんど返していない借金」や「延滞が多すぎる借金」の場合には、債権者の信用を失ってしまったことが原因で任意整理できない場合もあります。
また、債権者からみればパートの収入は不安定なものなので、長期間(5年)の分割払いには応じてもらえないこともあり得ます。
有利な条件(確実に返せる条件)で任意整理を成功させるためには、借金の状況が深刻になる前(借金が膨らみきる前、延滞が慢性化する前)に、着手することも大切といえるでしょう。
個人再生すると借金の一部を免除してもらえる
借金が多額すぎるときには、任意整理では借金を解決できない場合があります。
任意整理では利息しか免除してもらえないために、借金が多額過ぎれば、返済額を減らし切れないからです。
任意整理では解決できないほどの借金を抱えたときでも、「個人再生」を利用できれば自己破産せずに借金を解決できる可能性があります。
個人再生を利用すれば、借金の一部を免除してもらうことができるからです。
個人再生をすると借金はいくらまで減るのか?
個人再生で免除してもらえる借金の金額は、民事再生法という法律であらかじめ決められています。
たとえば、個人再生をすると、100万円以上500万円未満の借金は100万円まで減額されます。
個人再生では、この金額(100万円)を3年で分割返済するのが原則となっています。
つまり、パートの方であれば、500万円以上の借金を抱えてしまうことはあまりないでしょうから、毎月27,000円を返済できれば自己破産せずに借金を解決できるといえます。
パートでも個人再生は利用できる
個人再生を利用するためには、「継続的に又は反復して収入を得る見込み」のあることが必要です(民事再生法221条1項)。
パートであっても勤務実態・実績から3年間の分割返済をきちんとできる見込みがあると判断されれば、個人再生を利用することができます。
また、個人再生での分割返済は、毎月である必要がありません。
個人再生では、3ヶ月に1回以上の返済であればかまわないので、収入額に波がある場合には、返済頻度を長くすることで対応できます。
個人再生を利用する場合の注意点
パートの方が個人再生で借金を解決しようとする際に注意すべきポイントは次のとおりです。
- 債権者に反対されると個人再生できない
- 個人再生の利用には家族の協力が必要な場合が多い
- 個人再生は費用が高額
個人再生では借金の一部免除が行われます。
そのため、個人再生の認可は、「債権者の反対がない」ことが前提となります。
個人再生は、債権者の過半数かつ債権額の1/2以上の反対があるときには認められません。
任意整理の場合と同様に、債権者との関係に問題があるときには、債権者が個人再生に反対する可能性も否定できません。
また、個人再生の申立てには、「同居の家族の収入状況」を裁判所に申告する必要があります。
債務者が3年間の分割返済をきちんと完遂できるかを判断するためには「家計状況」を正しく把握する必要があるからです。
家族の収入証明を取得する必要があるので、家族に内緒に個人再生を申し立てることは難しい場合が多いでしょう。
他方で、個人再生は、債務者本人の収入が足りなくても、「同居の家族の収入」を合算して分割返済の可否を判断してもらうことができます。
家族の協力があれば、より多額の借金であっても自己破産せずに解決することが可能です。
最後に、個人再生は裁判所の手続きなので、弁護士報酬も任意整理の場合よりも高額となります。
また、裁判所に納める費用も負担しなければなりません。
個人再生では、弁護士費用・裁判所に納める費用を合わせて50~70万円ほどの費用がかかることが一般的です(弁護士報酬が30~40万、裁判所に支払う費用が17~27万)。
ただし、これらの費用は分割で支払える場合が少なくありません。
裁判所に支払う費用の取扱いは、裁判所ごとに金額・支払い方法が異なることがあります。
詳細はそれぞれの地域の弁護士にお尋ねください。
多額の年金・保険料滞納があると個人再生できない
借金苦の方には、毎月の年金・健康保険なども未払いになっている人が少なくありません。
各種保険料や税金といった公租公課の支払いは、債務整理をしても免除されません。
個人再生をしても公租公課の支払いは、請求されればすぐに支払う必要があります。
また、公租公課の徴収機関には、「滞納処分」という未納者の財産を強制的に徴収する手続きを行う権限があります。
滞納処分は、裁判所の手続き(個人再生・自己破産)にも優先します。
したがって、公租公課の延滞額が多額なときには、個人再生が認められない場合が少なくありません。
公租公課の支払いは、分割払いや減免手続きを利用できる場合があります。
年金・健康保険の支払いが苦しいときには、それぞれの徴収機関に相談してみると良いでしょう。
自己破産すれば借金の返済義務はすべてなくなる
自己破産は、最終的な借金解決方法です。
抱えている借金を分割で返済できる目処がないときには、裁判所にすべての返済義務を免除してもらうほかありません。
「借金の金額いくら以上でないと自己破産できない」という明確な条件は設定されていませんが、任意整理・個人再生でも完済できないのであれば、自己破産が認められる場合が多いでしょう。
自己破産しても他人に知られることはほとんどない
自己破産(個人再生)すると官報に氏名・住所などが掲載されます。
そのため自己破産すると「他人に知られてしまう」と不安に感じる人も少なくないようです。
しかし、官報をみている人はほとんどいません。
また、官報には全国の裁判所で行われるさまざまな手続きの公告が多数掲載されているので、特定人の自己破産を見つけ出すのも簡単なことではありません。
また、自己破産したことは住民票や戸籍に記載されることもありません。将来の年金受給権がなくなることもありません。
浪費が原因の借金があるときには注意が必要
浪費(や遊興費)が原因で多額の借金を作り自己破産するときには注意が必要です。
浪費などが原因で多額の借金を作ってしまったときには、自己破産しても免責不許可となる可能性があるからです。
免責不許可になれば、自己破産しても借金の返済義務はなくならないので、自己破産する意味がありません。
しかし、実際の自己破産では、浪費による借金がある場合でも裁判所の裁量で免責が認められています。
したがって「浪費の借金だから自己破産できない」と諦める必要はありません。
ただし、裁量免責を与えるためには、申し立てられた自己破産を「管財事件」として処理する必要があります。
管財事件の場合には、破産管財人の報酬に充てられる予納金として20万円以上の費用を負担する必要があります。
東京地方裁判所では、予納金の分割納付が認められていますが、一括払いしか受け付けていない裁判所も少なくありません。
また、自己破産申立て後も浪費がやめられないようなケースでは、裁量による免責も認められずに本当に免責不許可となる可能性があります。
全く返していない借金があれば自己破産もできない
任意整理・個人再生でも返すことのできなくなった借金は自己破産で解決するほかありません。
しかし、「全く返していない借金」があるときには、自己破産すらできないことがあります。
「返すことができないのがわかっていて借りた借金を本当に返さないこと」は詐欺に問われる可能性があり、「返していない借金を踏み倒す目的で自己破産すること」は詐欺破産に該当するからです。
詐欺破産に該当する場合には、自己破産を申し立てても裁判所が自己破産を認めてくれません。
自転車操業の末期段階では、「返すアテもないのに新規(追加)の借入を繰り返している」人も少なくありません。
実際にも、全く返していない借金があるときには、詐欺破産にならない程度まで返済実績を積んでから自己破産の申立てすることになります。
自転車操業は問題の解決にならないだけでなく、債務整理の選択肢を減らす行為です。
絶対にやらないようにしましょう。
パートの債務整理まとめ
多額の借金を返せなくなったときでも「パートだから債務整理できない」と諦める必要はありません。
総量規制のある消費者金融やクレジットカードでの借金であれば、「もう返せない」と途方に暮れている借金であっても自己破産せずに解決できる可能性は十分あります。
また、借金や債務整理の相談は、多くの弁護士・司法書士事務所で「無料相談」を受けることができます。
借金の問題は1人で抱え込んでしまうと深刻化するだけのこと方が多いです。
借金の返済が苦しいと感じたときには、できるだけ早く弁護士・司法書士に相談しましょう。
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でしが、借金問題は後回しにすればするだけ事態は悪化するだけで良い事は一つもありません。
借金問題は、専門家に相談することで思っているよりも簡単に問題を解決し新しい生活を送ることができます。
実際に、借金問題を解決した多くの人が『こんなに簡単に終わるならもっと早く相談しておけば良かった』と言います。
取り返しのつかなくなる前に、1日も早く相談を行い借金に苦しまない新しい生活をスタートしましょう。
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