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そんな状況に陥ってしまったら、自己破産をするしかありません。
しかし、自己破産と聞いて良いイメージを持っている方は少ないのではないでしょうか。
たしかに自己破産にはデメリットもありますが、日々の生活を立て直し、新しいスタートを切るためにはこれ以上ない強力な解決方法になります。
この記事では、自己破産の手続きや流れなどについて解説します。
自己破産についての正しい知識を身につけ、いざという時に自己破産を含めた適切な対応ができるよう、自らの選択肢を広げていただければと思います。
また、大切なことなので最初に結論からお伝えします。
『1年以上、借金の返済総額が減っていないor増えている。』
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それでは解説をしていきます。
自己破産とは?
まず、自己破産とは何かについて解説します。
自己破産は債務整理の一つの方法
自己破産は、いわゆる債務整理の一つの方法です。
法的には、裁判所における「破産手続」に則って、債務を減らしたり免除したりすることにより、債務者を返済の負担から解放する制度ということになります。
自己破産には悪いイメージがある人も多いかもしれません。
しかし、自己破産の目的は、債務者を借金の負担から解放して新しい生活のスタートを切らせるという点にあります。
つまり、自己破産は債務者の味方となる制度なのです。
他の債務整理手続と比較した自己破産の特長
債務整理には、自己破産の他にも任意整理や個人再生といった手続きが存在します。
これらの手続と比較した場合に、自己破産の方が有利な点について解説します。
- 原則として債務の全額が免責される
任意整理や個人再生では、債務の全部が免除されることはありません。
したがって、債務者は手続きの終了後も、引き続き債務を支払っていくことになります。
一方、破産手続においては、原則として債務の全額が免責されます。
この全額免責が自己破産の最大の特長です。
借金が多額に及んでしまっている場合や、手元に残しておきたい財産がないという場合には、自己破産による債務整理を行うのが最もおすすめです。
- 強制執行が停止する
破産手続開始決定がなされると、その後はすべての強制執行が禁止されます。
また、破産手続開始の申立ての段階においても、裁判所の裁量で強制執行禁止の命令が出る場合があります。
こうした効果は任意整理の場合には認められていません(個人再生手続においては同様の効果が認められています。)。
よって、強制執行の停止は破産手続きの特長であると言えるでしょう。
強制執行が禁止されると、債権者は破産手続きの中で債権を回収するしかなくなりますので、日常的に取り立てを行うメリットがありません。
したがって、日々厳しい取り立てに悩まされているという場合には、破産手続きを行うことにより、こうした取り立てから解放されることができます。
自己破産の注意点
自己破産は債務の免責が認められるなどの点で債務者にとって非常に有利な制度です。
しかし、自己破産を行う際には、注意しなければならない点がいくつかあります。
以下では自己破産の注意点について解説します。
- ごく一部を除いて資産がすべて処分される
破産手続においては、一部の例外を除き、債務者の所有する資産はすべて売却されて債権者に対して分配されてしまいます。
したがって、手元に残しておきたい資産(車・家など)がある場合には、自己破産をすることはできる限り避けなければなりません。
- 住所・氏名が官報に掲載される
破産手続が開始した場合、官報(国発行の機関紙)に氏名と住所が掲載されます。
したがって、もし第三者が官報を目にした場合には、自己破産をしたという事実がその第三者に知れてしまうことになります。
官報というのは日常的に読まれる書物ではないため、このような可能性は実際にはあまり高くないと言えるでしょう。
しかし、親族に借金を秘密にしている場合などは念のため注意が必要です。
- 破産手続期間中は一定の職業に就けなくなる
破産手続が開始すると、債務者は一定の資格職や警備員などの職種に就くことができなくなります。
これを破産者の「資格制限」と言います。
もし、自己破産前にこれらの職業に就いていた場合には、職を失うことになってしまいます。
よって、自己破産を申請する前に、自分が資格制限で困った事態に陥らないかを十分に確認しましょう。
なお、資格制限は破産手続における免責決定後に解除されます。
自己破産の2種類の手続き(同時廃止事件と管財事件)
自己破産には、大きく分けて①同時廃止事件②管財事件の2種類の手続きがあります。
両者の違いは、「債権者に分配できる財産があるかどうか」という点にあり、この点に対応して手続きの流れも異なります。
以下で同時廃止事件および管財事件の各手続きについて具体的に解説します。
同時廃止事件とは?
同時廃止事件とは、破産手続開始決定がなされたのと同時に、破産手続が廃止により終了する事件を言います。
同時廃止事件となるのは、「債務者が所有する財産では、破産手続きの費用すら払えない場合」です。
破産手続きを進めるには、破産管財人に支払う報酬をはじめとして諸費用がかかります。
この費用は債務者の負担となりますが、債務者がこれらの諸費用を負担できない場合には、破産手続きを進めることができません。
したがって、破産手続開始決定と同時に手続が終了するということになるのです。
当然、手続の費用すら払えないわけですから、債権者に対する配当もゼロということになります。
自己破産の場合は、債務者が価値のある財産を持っているということは少ないため、同時廃止となることの方が多いのが実情です。
管財事件とは?
債務者の財産により破産手続きにかかる費用をまかなうことができる場合には、「管財事件」となります。
管財事件においては、破産管財人が選任され、債務者の財産を管理することになります。
必然的に、同時廃止事件よりも手続きは複雑になり、時間がかかることになります。
なお管財事件となるのは、個別具体的な事情も考慮されるものの、おおむね債務者が20万円以上の財産を持っている場合とされています。
同時廃止事件の流れは?免責決定までの期間についても解説
同時廃止事件の流れ
同時廃止事件の流れについて、順を追って解説します。
- 破産手続開始の申立て・即日面接
まず、地方裁判所に破産手続開始の申立てを行います。
申立てと同日に、裁判所において即日面接が行われます。
即日面接では、債務者の代理人である弁護士が裁判官と面接を行い、事件の内容を説明します。
即日面接の段階で、同時廃止事件となるか、管財事件となるかが決定されます。
- 破産手続開始決定・同時廃止決定
同時廃止事件の場合、即日面接の数日後に破産手続開始決定および同時廃止決定がなされます。
- 免責審尋
破産手続開始決定および同時廃止決定がなされた後、さらに数日後に免責審尋が行われます。
免責審尋は、債務者の債務を免責することを認めて良いかどうかを判断するために、裁判所から破産者に対しての質問が行われます。
もっとも、質問の内容は住所や氏名など基本的な事項に限られることがほとんどで、複雑な内容を聞かれることはまずありません。
- 免責許可・不許可決定
免責審尋からさらに数日後、裁判所により免責の許可または不許可の決定が行われます。
免責が許可された場合、2週間ほど経過した後にその旨が官報に掲載されます。
そして、掲載の日から2週間が経過すると、免責の許可が確定します。
同時廃止事件の申立てから免責の確定までにかかる期間
破産手続開始の申立てを行ってから免責許可の決定までにかかる期間は、数週間から1か月程度です。
そして、そこからさらに1か月程度が経過して免責の許可が確定します。
よって、トータルでは申立てから2か月程度で免責が確定することになります。
管財事件の流れは?免責決定までの期間についても解説
管財事件の流れ
次に、管財事件の流れについて、順を追って解説します。
- 破産手続開始の申立て・即日面接
同時廃止事件と同様、まず破産手続開始の申立てを行い、同日に即日面接が行われます。
ここで管財事件となることが内定します。
- 破産手続開始決定・破産管財人の選任
即日面接の数日後に破産手続開始決定がなされます。
管財事件の場合、この段階で破産管財人が選任されます。
これ以降、破産者の財産については破産管財人が管理処分権を持つことになります。
- 予納金の納付
破産管財人の選任後、破産管財人名義の口座に対して予納金を振り込みます。
東京地裁の場合、予納金は原則として20万円とされています。
なお、予納金については、裁判所によって分割払いが認められる場合もあります。
- 破産管財人との打ち合わせ
破産管財人と破産者、破産者の代理人弁護士の間で、管財事件の進め方についての打ち合わせが行われます。
破産管財人としては、その地域の弁護士が選任されるのが通常です。
その場合は破産管財人である弁護士の法律事務所を訪問して打ち合わせを行うことになります。
打ち合わせでは、基本的には資産状況の確認が行われ、不足資料があれば提出を求められるということになります。
また、免責不許可事由の有無等に関する質問も行われます。
- 債権者集会
破産手続開始の申立てから約3か月後に、債権者集会が行われます。
債権者集会には、破産者の債権者が出席することができます。
そして、その場で破産管財人が、破産者の財産についての調査結果を報告することになります。
なお、債権者集会の時点で管財業務が終わっていない場合には、2回目の債権者集会の日程が設定されることになります。
それ以降も同様です。
- 免責審尋
債権者集会の終結後、同時廃止事件と同様に、破産者に対する免責審尋が行われます。
破産者に対しては、住所や氏名など基本的な事項に関する質問が行われることになります。
- 免責許可・不許可決定
免責審尋から数日後、免責許可または不許可の決定が行われます。
免責許可が決定された場合、その後の官報掲載から確定までの流れは同時廃止事件と同様です。
- 債権者への配当
最後に、債権者への配当がある場合には、破産管財人から各債権者に対して配当が行われます。
管財事件の申立てから免責の確定までにかかる期間
債権者集会が1回で済む場合には、破産手続開始の申立てから免責許可の決定まではおおむね3か月強かかります。そこから約1か月で免責許可が確定します。
この場合、申立てから4か月程度で免責が確定することになります。
なお、債権者集会が2回、3回と続く場合には、その分期間が長くなります。
その場合、申立てから免責確定までは1年程度かかることもあります。
自己破産に関する不安や疑問を解決
以下では、自己破産に関して皆さんが疑問に思いがちな3つの問題について解説します。
免責が認められない場合があるって本当?
破産手続において免責が認められるためには、原則として免責不許可事由が存在しないことが必要です。
免責不許可事由とは、破産手続に非協力的な行動を取ったり、借金が浪費や賭博によるものであったりなど、免責をするのが適当でないと判断される方向に働く事実を言います。
現実問題として、借金を浪費や賭博によって作ってしまったという人は数多くいるため、厳密には免責不許可事由に該当するという場合も多いです。
しかし、免責不許可事由がある場合であっても、裁判所の裁量により免責が認められることもあります。
実際上は、免責を認めなければ破産者の財務状況の改善が見込めないという場合がほとんどのため、多くのケースで裁量免責が認められています。
したがって、実際にはほとんどのケースで免責が認められることになると言うことができます。
ただし、免責許可の決定がなされる場合であっても、税金や健康保険料など、免責されない債務も一部ありますので(非免責債権)、注意が必要です。
自己破産した後、どのように生活すればよい?
自己破産した場合、原則として債務者の資産が処分され、債権者に分配されてしまいます。
そのため、破産手続終了後どのように生活していけば良いのか、不安に思う方もいるでしょう。
しかし、破産手続きを行う場合でも、生活に必要な最低限のお金などは手元に残すことができます。
また、破産手続開始決定後に得た収入は、破産手続の対象外となりますので、これも手元に残しておくことができます。
さらに、これまでとは違って借金を返済する必要がなくなります。
これらのことから、財務状況は破産前と比べてはるかに改善すると言えるでしょう。
また、収入がない、または少ない場合には、生活保護を受けるなどの方法もあります。
このように、自己破産をした場合でも、その後生活していくための収入を得る手段はしっかりありますので、不安に思う必要はありません。
自己破産の事実は勤務先に秘密にできる?
借金や自己破産の事実を勤務先に知られてしまっては気まずい、できれば知られたくないと思う方も多いのではないでしょうか。
この点、自己破産をしたという事実は、国の機関紙である官報に掲載されてしまいます。
したがって、仮に勤務先の人が官報を目にする機会があった場合には、自己破産の事実が勤務先に知れてしまうことになります。
もっとも、官報は日常的に読まれる性質の書物ではないので、現実的には勤務先に自己破産の事実が発覚してしまう可能性は低いでしょう。
もう一つ、先にも説明しましたが、破産手続開始決定がなされた場合には、破産者には一定の資格職や警備員などの職種に就くことができなくなる資格制限が発生することに注意が必要です。
もし資格制限の対象となっている職業についている場合には、自己破産をする際に勤務先に報告する必要があります。
「黙っていればばれないだろう」と軽く考えていると、後にトラブルになった際に会社から損害賠償を請求されるなど、取り返しがつかない事態になる可能性があります。
自己破産は弁護士または司法書士に相談しよう
自己破産は、裁判所の下で行われる法的な手続きに則って行われます。
したがって、自己破産を行う際には、法律の専門家である弁護士または司法書士に相談することをおすすめします。
自分でやるのは手間がかかりたいへん
自己破産をするためには、裁判所に対して提出する書類などを準備する必要があります。
こうした書類の作成方法などは法令に定めがあり、要件を欠くと破産手続開始の申立てが却下されてしまいます。
したがって、自己破産の準備には法律の専門的知識が不可欠です。
また、準備にかかる手間も多いため、債務者が自分だけで自己破産の準備をするのは現実的ではないと言えます。
弁護士や司法書士に相談・依頼をすれば、依頼者の具体的な事情に応じて、依頼者にとって最善の解決策を提案してくれます。
自己破産をすべきかどうか、他の債務整理手続を利用することはできないかなども含めて、依頼者に選択肢を提示してくれますので、より良い解決に繋がります。
また、自己破産で裁判所に提出することが必要な書類の準備も、すべて依頼者の代わりに行ってくれます。
よって、自己破産を検討する場合には、早めに弁護士や司法書士に相談しましょう。
依頼費用が捻出できない場合は法テラスを利用する手もある
もし、手元に弁護士や司法書士に支払う依頼費用がないという場合には、「法テラス」に相談してみることが有効です。
法テラスでは、経済的に困窮している依頼者に対して、弁護士や司法書士への依頼費用を立て替えてくれます。
立て替えてもらった費用は、依頼終了後に分割払いで返済していくことになりますが、生活保護を受けているなど一定の場合には返済の免除を受けられます。
また、法テラスでは弁護士や司法書士を紹介してもらうこともできます。
そのため、弁護士や司法書士へのツテがないという場合にも、法テラスを法律相談の入り口として活用することができます。
自己破産を検討している方は、まず法テラスで相談をしてみてはいかがでしょうか。
法テラスを利用して自己破産した人の体験談を紹介
法テラスを利用して自己破産した人の体験談を一つ紹介します。
私は、3年前に元夫と離婚して以来、3人の子どもを女手一つで育ててきました。
しかし、当時私の月々の収入は手取りで13万円しかなく、生活費を補填するために少しずつ借金を重ねるようになっていました。 生活が苦しい日々が続いていたところ、ある時派遣先からリストラをされてしまい、それ以降生活保護を受給することになりました。 生活保護のお金だけでは生活費もままならず、とうとう借金が200万円まで膨らんでしまいました。 借金返済の見込みは全く立たず、取り立ても厳しくなっていく中で、私はもう限界だと思い、法テラスに借金の相談をしに行きました。 法テラスでは、債務整理に強い弁護士を紹介してもらえました。 弁護士の方は、私が生活保護を受けていること、借金の金額などについて具体的に話を聞いてくれました。 当時私は大きな財産は全く持っておらず、また生活保護を受給中という状況でした。 そのため、弁護士の方は、破産手続を利用することを提案してくれました。 自己破産と聞いて最初はためらう気持ちもありましたが、弁護士の方は、私の状況であれば破産のメリットが大きいということを丁寧に説明してくれました。 私は、その話を聞いて納得し、弁護士の方に破産手続を進めてもらうよう依頼しました。 依頼費用については、法テラスの審査が通り、民事法律扶助の制度によって法テラスに立て替えてもらえることになりました。 破産手続が終了し、私はすべての債務を免責され、借金の負担から解放されました。 さらに、法テラスに立て替えてもらった弁護士費用は、私が生活保護を受給中であったことを理由として、申請により免除してもらうことができました。 その後は、ハローワークで職を見つけることに成功し、仕事の収入で何とかやりくりを続けています。 このまま借金をすることなく、子供を育てていければいいなと思っています。 |
まとめ
今回の記事では、自己破産の流れやデメリットなどについて紹介してきました。
きちんと全体像やマイナスの面を把握した上で、適切な判断をするようにしてくださいね。
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でしが、借金問題は後回しにすればするだけ事態は悪化するだけで良い事は一つもありません。
借金問題は、専門家に相談することで思っているよりも簡単に問題を解決し新しい生活を送ることができます。
実際に、借金問題を解決した多くの人が『こんなに簡単に終わるならもっと早く相談しておけば良かった』と言います。
取り返しのつかなくなる前に、1日も早く相談を行い借金に苦しまない新しい生活をスタートしましょう。
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