借金60万円はまだ余裕?債務整理を検討すべきタイミングと借金60万円返済方法

便利な現代では、街のいたる所にATMがあり、お手軽に借金ができてしまいます。中には、預金口座からの引き出しと同じような感覚で借金をしてしまう人もいるようです。

そうしているうちに、気が付いたときには借金が60万円ほどになってしまっていたという人もいるでしょう。そうした人は、このまま返済を続けた方がよいのか、債務整理をした方がよいのか悩まれているのではないでしょうか。

そこで、この記事では、このまま返済を続けた場合と債務整理をした場合それぞれをシミュレーションしたうえで、どちらがよいのか見ていきましょう。

また、大切なことなので最初に結論からお伝えします。

『1年以上、借金の返済総額が減っていないor増えている。』

『このまま借金を完済するのは厳しいのは分かっているけど、利息だけ毎月支払うような状態が1年以上続いている。』

このような状態になっている方は、既に黄色信号が点滅している状態です。

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それでは解説をしていきます。

総量規制について

シミュレーションをする前に「総量規制」という仕組みについて説明したいと思います。総量規制とは、個人の借金の総額が、原則として年収の3分の1までに制限される仕組みです。

貸金業法上、個人から借金の申込みを受けた貸金業者は、信用情報機関が保有する個人信用情報でその人の他の貸金業者からの借金の残高を調査しなければならないとされています。そして、調査の結果、借金の残高が年収の3分の1を超えるような貸付けを行うことはできません。

実は、個人の借金の総額が年収の3分の1に制限されている理由は、個人の借金の総額が年収の3分の1を超えると、債務整理をすることなく返済を続けていくことが難しいと考えられていることにあります。

そうすると、逆に考えると、借金が60万円の場合、少なくとも年収は180万円以上であるということになります。

とはいえ、債務整理も検討しているということは、毎月の返済が厳しくなってきているということですから、年収は180万円を大きく上回っているということもないのではないでしょうか。

そこで、以下では、年収が200万円であることを前提にシミュレーションをしていきたいと思います。年収が200万円の場合、月収は約16万6000円です。


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返済シミュレーションについて

このまま返済を続けた場合

借金をするというということは、返済をするまでに発生する利息を支払う必要があります。債務整理をせずに60万円の借金をそのまま返し続けた場合、利息はいくらとなるでしょうか?

貸金業者のHP上で、返済シミュレーションができるようになっているので、これを使って計算していきましょう。なお、利息制限法上、10万円以上100万円未満の借金に対する貸付利息の最大利率は年18%とされ、多くの消費者金融がこの利率を採用しています。

1年間で返済する場合

60万円を1年間で返済する場合、毎月の返済額は5万5007円となり、支払う利息は6万0090円です。

2年間で返済する場合

60万円を2年間で返済する場合、毎月の返済額は2万9954円となり、支払う利息は11万8893円です。

3年間で返済する場合

60万円を3年間で返済する場合、毎月の返済額は2万1691円となり、支払う利息は18万0876円となります。

返済は可能?

年収が200万円、月収が約16万6000円とすると、毎月6万円を返済に充てるのは難しいでしょう。そうすると、2年ないし3年で返済するのが現実的なものと思われます。

任意整理をした場合

それでは、任意整理をした場合はどうなるでしょうか。

任意整理とは?

任意整理とは、裁判所を介することなく、直接債権者と交渉して合意を締結する手続です。具体的には、既に発生している利息や遅延損害金を免除してもらった上で、毎月の返済額も減額してもらい、残債務を3年から5年の分割払いで返済する内容の合意をします。

また、本来、返済が完了するまでに発生する利息の支払いも免除してもらいます。こうすることで、返済するお金をすべて元本に充てられるのです。

返済シミュレーション

60万円の借金を任意整理した場合、これを3年で返済するのであれば月1万6666円を返済すればよいことになります。この場合、元本が60万円と低額なので、5年の分割払いは 債権者が承諾しない可能性が高いでしょう。

このまま返済を続けるか?任意整理をするか?

このように60万円の借金を返済するとしても、このまま返済を続けた場合、毎月の返済額は2万1691円であるのに対し、任意整理をした場合、毎月の返済額が1万6666円となります。そのため、任意整理をした方がよいと思われるかもしれません。

しかし、ここで注意しなければならない点が2つあります。1つは、任意整理をした場合、弁護士費用がかかることです。もう1つは、任意整理にはデメリットがあります。それぞれ見ていきましょう。

弁護士費用がかかる

実は、債務者本人が任意整理をしようとした場合、債権者は、交渉に応じてくれないのが一般的です。そのため、任意整理をするためには、弁護士などの法律の専門家に依頼する必要があります。任意整理を弁護士に依頼する場合、弁護士費用を支払わなければなりません。

弁護士費用は、一般的に、事件を依頼するときに支払う着手金と、事件が解決したときに支払う報酬からなります。任意整理を弁護士に依頼した場合、着手金の相場は債権者1社当たり2万円から5万円と言われています。

これに加え、債権者との間で合意ができた場合、報酬として債権者1社あたり2万円程度支払わなければなりません。

先ほど、60万円を2年間で返済する場合に支払う利息は11万8893円、3年間で返済する場合に支払う利息は18万0876円であると説明しました。

1社から60万円を借りている場合、仮に着手金が5万円だとしても、報酬と合わせて7万円ですから、2年間で支払う利息よりも安くなります。そのため、任意整理を検討してもよいと思われるかもしれません。

任意整理をした場合のデメリット

もっとも、任意整理をした場合には大きなデメリットがあります。「ブラックリストに載る」という言葉を聞いたことはないでしょうか。正確に言うとブラックリストというものは存在しません。

日本には3つの特定信用情報機関が存在し、クレジットカードを作ったり、消費者金融から借金をしたりした人の支払能力に関する情報を管理しています。任意整理をしたことは、支払能力に関する情報ですから、この手続きをとるとその事実が登録されます。

このように、支払能力を判断するうえでマイナスとなる情報が、特定信用情報機関の管理する情報として登録されている状況が「ブラックリストに載る」と呼ばれているのです。

個人向け貸付けを行う貸金業者は、特定信用情報機関に加入し、特定信用情報機関の保有する信用情報を使用することが義務付けられています。そのため、貸金業者は、新たに借金の申込みを受けると、信用情報を照会しなければなりません。その際、任意整理をしたことが情報として載っていると、貸金業者は、借金の申込みを拒絶します。

任意整理をしたとの情報が抹消されるまでには通常5年ほどかかります。つまり、任意整理をすると、最低でも5年間は貸金業者から借金をすることができません。もう借金なんてしないと思われるかもしれませんが、この5年間は、例えば結婚して自宅や自動車をローンで買うこともできなくなるのです。

また、最近では、携帯電話の機種代が高額となり、ローンで買う人が増えていますが、5年間は一括で購入することしかできなくなります。

基本的にはこのまま返済を続けるのがよいが…

このような任意整理のデメリットを考えると、このまま返済を続けられるのであれば、返済を続けた方がよいでしょう。しかし、借金をするということは元々貯金もないはずです。また、毎月の返済で新たに貯金をする余裕もないでしょう。そうすると、急に大きな出費が必要になった場合、新たに借金をせざるを得ません。

その結果、毎月の返済額が増えます。毎月の返済額が増えると、生活費を圧迫していくようになります。そして、不足した生活費を補うために新たに借金をしたり、クレジットカードで支払いをしたりします。

毎月の返済額は増える一方なので、返済のために新たに借金をします。こうして、気がついたときには借金の総額が60万円どころではなくなっているのです。

このような事態を避けるためには、借金を60万円から決して増やさないようにしてこのまま返済を続けていくしかありません。

そして、もし、借金が60万円から増えていってしまうようであれば、早めに弁護士など法律の専門家に相談してください。そうでないと、気が付いたときには任意整理では対応しきれず、自己破産をしなければならないというケースもあるからです。

まとめ

以上、借金60万円について、このまま返済を続けた場合と債務整理をした場合それぞれをシミュレーションしたうえで、どちらがよいのか見てきました。借金が60万円に留まっていれば、このまま返済を続けてもよいかもしれませんが、借金が増えれば増えるほど、債務整理の選択肢も狭まってきます。

そのような事態を避けるため、返済するのが苦しいと感じたら、早めに弁護士等の専門家に相談されることをお勧めします。

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