債務整理と資産隠し~自己破産や個人再生をする際にお金や車、貴金属を隠すとどうなる?

もう毎月の借金の返済が苦しいので、債務整理をしたい…。

債務整理をすると、すべての財産を処分しなければならないと聞いているが、病気の家族を病院に連れていくのに必要不可欠な車も処分しなければならないのか…?

債務整理をする前に車を隠してしまってもバレないのでは…?

ちょっと待ってください!

資産隠しは必ずと言っていいほど発覚します。

そして、債務整理の方法によっては、資産隠しをすると大きな罰則が待っています。

資産隠しは絶対に避けなければなりません。

そこで、この記事では、債務整理において資産隠しをしてしまった場合の5つの罰則と注意点について詳しく解説します。

また、非常に重要なことなので先に結論をお話します。

借金トラブルは時間がたてばそれだけ、対応が難しくなり事態はあっという間に深刻化していきます。

問題を解決した後の影響も大きくなるのも否定できません。

・借金を完済するのは、自分の力だけでは不可能と分かりながらも問題を後回しにしてしまっている。

・返済をして家賃などを支払うと給料の多くが減ってしまい、クレジットカードでしのいだりお金を借りてしまう状態がずっと続いている。

このように感じたことが1度でもある方は、非常に危険と言わざるを得えない状態です。

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債務整理において資産隠しをしてしまった場合の5つの罰則と注意点

債務整理と一口にいっても、任意整理、個人再生、破産という主に3つの手続きがあります。

それぞれ資産隠しをしたことによる手続きへの影響が異なるので、分けて説明していきましょう。

任意整理の場合

任意整理とは?

任意整理とは、裁判所を介さず、直接貸金業者などと交渉し、利息や遅延損害金の支払いを免除してもらった上で、毎月の返済額も減額してもらい、借金そのもの(元本)を3年から5年で返済する内容の合意を締結する手続きです。

任意整理のメリットは、主に①手続きが速くて簡単であること、②資産を残せること、③家族や勤務先などに知られることなく行えることにあります。

任意整理の場合は罰則なし

先に説明したとおり、任意整理のメリットは、資産を残せることにあります。

反対に言うと、任意整理をする場合、資産を処分する必要はありません。

そのため、資産隠しが問題とならず、当然罰則もないのです。

任意整理を弁護士などの法律の専門家に依頼した場合、どのような財産を持っているか告げる必要はありません。

個人再生の場合

個人再生とは?

個人再生とは、裁判所に申立てをして、借金を減額してもらい、残った借金を3年(特別な事情がある場合、5年間まで返済期間を延ばすことができます)かけて分割で返済する手続きです。

借金の減額の基準は以下のとおりとなっています。

借金が100万円未満の場合 全額(減額なし)
借金が100万円以上500万円以下の場合 100万円
借金が500万円を超え1500万円以下の場合 借金の5分の1
借金が1500万円を超え3000万円以下の場合 300万円
借金が3000万円を超え5000万円以下の場合 借金の10分の1

この基準によって算出される返済額を「最低弁済額」といます。

債務者は、最低弁済額を3年(例外的に5年)で返済できるような計画を立て、裁判所に認可してもらう必要があります。

もっとも、「清算価値が最低弁済額を上回る場合、清算価値が最低弁済額になる」という決まりがあります。

では、清算価値とはどういうものでしょうか?

清算価値とは、債務者の資産すべてを現金に換価した場合の金額をいいます。

実際に現金に換価する必要はありません。

その代わり、債務者が、自己破産をした場合に失うことになる資産に相当する金額については、債権者に返済することとした制度です。

個人再生における資産隠し

このように、個人再生の手続きにおいては、清算価値を算出する上で、債務者にどのような資産があるかが重要になってきます。

精算価値が先ほど挙げた基準による最低弁済額を上回っている場合に資産隠しをすると、精算価値が減ります。

また、精算価値より、基準による最低弁済額の方が高くなることがあります。

そうすると、結果として債権者への返済額が本来よりも少なくなり、債権者に不利益を与えるのです。

資産隠しは、必ずと言っていいほど発覚します。

特に資産隠しが発覚するケースとして多いのは、銀行口座の取引履歴です。

個人再生をする際には、過去1~2年分の銀行口座の取引履歴を提出しなければならないのですが、裁判所は、一つ一つの取引に目を通します。

冒頭の事例では、例えば取引履歴上は自動車保険料が引き落とされているにもかかわらず、車を所有している旨の申告がないことで資産隠しが発覚したりするのです。

再生計画が不認可となる

このように個人再生において資産隠しをすると、債権者への返済額が本来よりも少なくなり、債権者に不利益を与えます。

そこで、債権者に不利益を与える場合にどのような罰則があるのか見ていきましょう。

個人再生の手続きにおいては、先に説明したとおり、基準による最低弁済額ないし清算価値の高い方の金額を3年(例外的に5年)で返済する計画を立て、裁判所に提出する必要があります。

この返済計画を「再生計画案」といいます。

裁判所は、再生計画案について債権者からの同意が得られた場合、再生計画を認可します。

ところが、個人再生手続きについて定めた民事再生法174条2項3号は、「再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至った」ときは、裁判所は、再生計画を不認可とすることとしています。

資産隠しをして、清算価値を低くすることは、この「再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至った」ときに該当します。

したがって、個人再生において資産隠しをすると、再生計画が不認可となり、借金は減額されないという罰則があるのです。

再生計画が取り消される

また、裁判所が再生計画を認可するときには資産隠しが発覚しておらず、再生計画が認可され、確定した後に資産隠しが発覚する場合もあります。

同じく民事再生法189条1項1号は、「再生計画が不正の方法により成立した」ときは、裁判所は、再生計画を取り消すことができるとしています。

資産隠しをして、清算価値を低くすることは、この「再生計画が不正の方法により成立した」ときに該当するとされています。

したがって、個人再生において資産隠しをすると、再生計画が取り消され、一度減額された借金は元通りとなるという罰則があるのです。

破産の場合

破産とは

破産は、裁判所に申立てをして、①破産者の資産を処分してお金に換え、これを債権者への返済に充てる手続き、②それでも残った借金をゼロにするという手続きからなります。

前者は、破産手続と呼ばれ、後者は、免責手続と呼ばれています。

破産の最大のデメリットは、資産を処分しなければならないことにあるでしょう。

免責不許可となる

破産の手続きについて定めた破産法は、裁判所が、債務者の借金をゼロにすることを認めない事由について規定しています(破産法252条1項各号)。

このような事由を「免責不許可事由」といいます。

免責不許可事由があるとされると、借金がゼロになりません。

そして、破産法252条1項1号は、「債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと」を免責不許可事由として挙げています。

要するに、資産隠しが発覚した場合、罰則として借金がゼロにされないということです。

免責取消しになる

また、裁判所が免責を許可するときには資産隠しが発覚しておらず、免責が許可され、確定した後に資産隠しが発覚する場合もあります。

同じく破産法254条1項は、裁判所は、以下の場合に免責取消しの決定をすることができるとしています。

①詐欺破産罪について有罪の判決が確定したとき

②不正の方法によって免責許可の決定がされた場合で、債権者が免責許可の決定があった後1年以内に免責取消しの申立てをしたとき

①については、次に説明しますが、資産隠しをすることは、②に該当するとされています。

したがって、破産において資産隠しをすると、免責が取り消され、免責によって返済を免れた借金は元通りとなるという罰則があるのです。

☆破産詐欺罪で刑罰を科せられる

さらに、破産において資産隠しをすると、刑罰を科せられることがあります。

すなわち、破産法265条1項1号は、債権者を害する目的で、債務者の資産を隠匿する行為をした者は、破産手続開始の決定が確定したときは、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方を科すとしています。

あくまで、「債権者を害する目的で」資産を隠した場合です。

不注意で結果として資産を隠したような状況になってしまった場合には該当しません。

もっとも、冒頭で挙げた事例は、破産詐欺罪に該当する可能性があります。

☆破産でも99万円以下の財産は残せる

このように破産において資産隠しをしてしまった場合、重い罰則が科されることになります。

資産隠しをしてしまうのは、破産をすると、すべての資産を処分しなければならないという認識があるからでしょう。

実は、破産をする場合でも、すべての資産を処分しなければならないわけではありません。

破産法は、一定の資産を債務者の自由財産として処分しないことを認めています。

主な自由財産は以下のとおりです。

・差押禁止財産

破産法34条3項2号は、「差押禁止財産」を自由財産としています。

差押禁止財産とは、法律によって差押えが禁止された財産です。

民事執行法131条によると、例えば「債務者の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具」(1号)、「債務者の一月間の生活に必要な食料及び燃料」(2号)、「債務者の学校その他の教育施設における学習に必要な書類及び器具」(11号)が差押禁止動産とされています。

したがって、破産をする場合でも、これらは処分する必要がありません。

・99万円以下の現金

また、破産法34条3項3号は、99万円以下の現金を自由財産としています。

・自由財産の拡張が認められた財産

東京地方裁判所では、以下の財産について自由財産と扱い、換価処分を不要としています。

この基準については各裁判所で多少異なっているので、弁護士などの法律の専門家に確認してください。

・残高(複数ある場合は合計額)が20万円以下の預貯金

・見込額(数口ある場合は合計額)が20万円以下の生命保険解約返戻金

・処分見込額が20万円以下の自動車

・居住用家屋の敷金債権

・電話加入権

・支給見込額の8分の1相当額が20万円以下の退職金債権

・支給見込額の8分の1相当額が20万円を超える退職金債権の8分の7相当額

・家財道具

冒頭の事例では、処分見込額が20万円以下であれば自由財産として扱われ、換価処分されません。

また、処分見込額が20万円を超える場合であっても、裁判所に対して申し出ることで、例外的に自由財産として扱われる場合もあります。


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まとめ


以上、債務整理において資産隠しをしてしまった場合の5つの罰則と注意点ついて解説しました。

説明したとおり、個人再生と破産をする場合に資産隠しをすると、重い罰則が科され、個人再生や破産をすることができなくなってしまいます。

また、債務者本人は、資産隠しのつもりなくした行為が結果として資産隠しとなってしまっていたケースも見受けられます。

そのため、債務整理を検討し始めた後、自己判断で動くことは禁物です。

弁護士などの法律の専門家に相談すれば、資産を残す方法について助言がもらえるでしょう。

一日も早い相談をお勧めします。

以上

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