自衛隊の任務を行う特別職国家公務員である自衛官。
残念ながら、テレビや新聞の報道で、自衛官の不祥事に関するニュースを耳にすることもあります。
そして、その中には金銭的なトラブルを原因とするものも見受けられます。
自衛官だからと言って債務整理をすることができないわけではありません。
そのため、金銭的なトラブルを原因として報道されるような不祥事を起こしてしまう前に債務整理を検討すべきです。
とはいえ、自衛官という職業柄、他の職業の人が債務整理をする場合と比べて注意する必要があります。
そこで、この記事では、債務整理の方法について具体的に説明した上で、自衛官の債務整理の3つのポイントと注意点について詳しく解説します。
また、大切なことなので最初に結論からお伝えします。
『1年以上、借金の返済総額が減っていないor増えている。』
『このまま借金を完済するのは厳しいのは分かっているけど、利息だけ毎月支払うような状態が1年以上続いている。』
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それでは解説をしていきます。
債務整理の具体的方法について
債務整理は、借金を整理し、無理なく返済をすることができるようにするための手続きのことです。
一口に債務整理といっても、具体的方法としてはいくつか種類があります。
そこで、自衛官の債務整理のポイントと注意点を説明する前に、一般的によく使われる任意整理、破産、個人再生の3つについて、それぞれどのような手続きか見ていきましょう。
任意整理とは
任意整理とは、裁判所を介さず、直接貸金業者などと交渉し、利息や遅延損害金の支払いを免除してもらった上で、毎月の返済額も減額してもらい、借金そのもの(元本)を3年から5年で返済する内容の合意を締結する手続きです。
他の2つの手続きと比較した主なメリットは、①手続きが速くて簡単であること、②財産を残せること、③家族や勤務先などに知られることなく行えることにあります。
破産とは
破産とは、裁判所に申立てをして、破産者の財産を処分してお金に換え、これを債権者への返済に充て、それでも残った借金をゼロにするという手続きです。
破産の主なデメリットは、財産を処分しなければならないこと、資格制限・職業制限を受けることにあるでしょう。
なお、破産の場合、裁判所に手続きの申立てをすると、国が発行するいわば新聞である「官報」に氏名、住所が掲載されることになっています。
個人再生とは
個人再生とは、裁判所に申立てをして、借金の一部を免除してもらい、残った借金を3年(特別な事情がある場合、5年間まで返済期間を延ばすことができます)かけて分割で返済する手続きです。
個人再生は、破産のように借金をゼロにすることはできませんが、借金そのもの(元本)は減額されない任意整理よりは返済額が少なくなります。
また、個人再生は、ほとんどすべての財産を処分しなければならない破産と異なり、自宅を処分しないで済む手続きです。
個人再生も、破産と同じく、裁判所に手続きの申立てをすると、「官報」に氏名、住所が掲載されます。
自衛官の債務整理の3つの特徴
具体的な債務整理の方法が分かったところで、自衛官の債務整理の3つのポイントと注意点について見ていきましょう。
①自主退職を求められるケースがある
自衛官が債務整理をする=「クビになる」と考えている人がほとんどではないでしょうか。
しかしながら、自衛官が債務整理をしたからといって、「クビになる」わけではありません。
詳しく見ていきましょう。
職業制限は受けない
先ほど、破産をした場合、職業制限を受けることになると説明しました。
職業制限を受ける身近な職業としては、警備員(警備業法第14条)、生命保険募集人及び損害保険代理店(保険業法第279条)などがありますが、公務員は含まれていません。
そのため、自衛官が債務整理をしても、職業制限を受けることはないのです。
懲戒免職ないし分限免職にはならない
職業制限を受けないとしても、「クビ」にならないのでしょうか。
民間企業で「クビ」というと、「解雇」という言葉が使われています。
一方、公務員である自衛官の場合、「クビ」というと、「免職」という言葉が使われることになります。
公務員の免職は、「懲戒免職」と「分限免職」の2種類に大別されます。
懲戒免職は、公務員として不適切な行為をはたらいた人を罰するために行われる処分です。
一方、分限免職は、組織の能率的運営の維持・確保を目的として行われる処分です。
例えば、勤務実績がよくない場合や、心身の故障のために業務に支障がある場合になされます。
公務員である自衛官の場合、懲戒免職ないし分限免職とされない限り、クビになることはありません。
そして、基本的に、私生活で作った借金の整理をすることは、公務員として不適切な行為を働いたわけではないので、懲戒免職とはされないでしょう。
また、私生活で作った借金の債務整理をすることは、組織の能率的運営の維持・確保とは無関係なので、勤務実績がよくないなど別の理由がないのであれば、分限免職ともならないはずです。
自主退職は別
このように、自衛官が債務整理をしたからといって、「クビになる」わけではありません。
もっとも、自衛官という職業柄、私生活であっても金銭的問題を抱えているということは望ましいことではないでしょう。
だからこそ、自衛官の不祥事がテレビや新聞のニュースで取りざたされているのです。
そのため、自衛官が債務整理をすると、上司から自主退職を求められるケースもあるようです。
また、自主退職を求められなくても、昇進に影響が出ることは避けられません。
自衛官が多額の借金をしていることが発覚した時点で、寮からの外出を禁止されたということもあるようです。
②防衛省共済組合からの借金があることが多い
先に説明したとおり、自衛官が債務整理をするとなると、上司から自主退職を求められるケースもあり、昇進に影響が出ることは避けられません。
そのため、勤務先に債務整理をすることを知られない方法を選択する必要があります。
そうすると、選択できるのは任意整理だけなのでしょうか。
破産や個人再生をすると、勤務先に知られてしまうのでしょうか。
結論から言うと、勤務先に知られてしまう可能性は高いです。
先に説明したとおり、破産や個人再生をすると、住所、氏名が官報に掲載されます。
もっとも、仕事で必要とされるようなことがない限り、官報を読んでいる人はめったにいないでしょう。
そのため、破産や個人再生をしたことが勤務先に知られるのは、基本的に官報からではありません。
以下の2つのケースが考えられます。
手続きに必要な書類を勤務先から取得する必要がある場合
破産や個人再生の場合、裁判所から勤務先の協力がないと得られない書類の提出を求められます。
具体的には、給与明細、源泉徴収票、退職金の見込額証明書などです。
給与明細や源泉徴収票は、既に手元にあればよいですが、退職金の見込額証明書は必ず勤務先に作成してもらう必要があります。
防衛省共済組合を債権者として申告する必要がある場合
破産や個人再生をする場合、すべての債権者を平等に扱わなければならないという債権者平等の原則があります。
債務整理をする自衛官は、消費者金融などの他に自身が加入する防衛省共済組合からも借金をしていることが多いです。
そうすると、破産や個人再生をする以上、防衛省共済組合を債権者として裁判所に申告しなければなりません。
債権者平等の原則に反し、防衛省共済組合を債権者として申告せず、返済を続けるということはできないのです。
裁判所に申告すると、裁判所は、防衛省共済組合に対して通知をしますので、破産や個人再生をすることが知られてしまいます。
厳密に言うと防衛省と防衛省共済組合は別の組織ですが、毎月の給与からの天引きという形で返済をしているので、給与を支払う防衛省と連携をとっており、防衛省にまで知られてしまうのです。
③自衛官の債務整理は基本的に任意整理
以上見てきたとおり、自衛官が債務整理をしようとした場合、勤務先である防衛省に知られることなく、破産や個人再生をすることは困難です。
破産や個人再生をした場合、自主退職を求められるケースがあります。
また、昇進に影響が出ることは避けられません。
そのため、防衛省に知られることなく債務整理をすることを希望するのであれば、任意整理を選択するしかありません。
もっとも、毎月の返済額の合計が手取り収入から住居費を差し引いた額の3分の1を超えるようであれば任意整理は難しいとされています。
そこで、これ以上の借金は絶対に避けなければなりません。
そのためにも、できるだけ早く、弁護士など法律の専門家に相談する必要があります。
まとめ
以上、自衛官の債務整理の3つのポイントと注意点について解説しました。
説明したとおり、自衛官だからといって債務整理ができないわけではありません。
しかしながら、対応が遅れれば遅れるほど選択肢が減り、最悪、職を失う事態に陥りかねませんので、一日も早く弁護士などの法律の専門家に相談してください。
以上
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でしが、借金問題は後回しにすればするだけ事態は悪化するだけで良い事は一つもありません。
借金問題は、専門家に相談することで思っているよりも簡単に問題を解決し新しい生活を送ることができます。
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