シングルマザーの人には「生活が苦しい」と感じている人が少なくないようです。
子どもの世話をしなければならないことからフルタイムで働くことが難しい場合や、子どもにかかる養育費の負担で家計に余裕がない場合もあるでしょう。
また、近年は少しずつ格差が是正されてきているとはいえ、やはり女性の賃金は男性に比べれば低いことも否定できません。
他方で、最近では、女性向けのカードローン商品が増えています。
女性専用コールセンターや女性専用窓口が設けられている消費者金融も増えています。
また、銀行からの借金も、以前に比べて非常に借りやすくなりました。
そのため、生活費や子どもにかかる費用の補填だけでなく、仕事や生活で抱えるストレスを発散するためにカードローンを利用している人も少なくないと思います。
しかし、家計に余裕がない状況で借金を抱えると、ちょっとしたことで借金が膨らんでしまいがちです。
- シングルマザーだから収入が少なく自己破産しかできない
- 子どもの将来に悪影響があるから自己破産はできない
- 弁護士に債務整理を依頼する費用もない
このように考え、借金解決を諦めてしまう人もいるのではないでしょうか。
今回は、シングルマザーが債務整理するときに知っておいてもらいたい10のポイントについて解説します。
借金問題は早期に対応すれば、シングルマザーであっても自己破産せずに解決することは可能です。
また、自己破産するしかない場合であっても、心配しているようなデメリットが生じないこともあります。
また、大切なことなので最初に結論からお伝えします。
『1年以上、借金の返済総額が減っていないor増えている。』
『このまま借金を完済するのは厳しいのは分かっているけど、利息だけ毎月支払うような状態が1年以上続いている。』
このような状態になっている方は、既に黄色信号が点滅している状態です。
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それでは解説をしていきます。
正規雇用で働いていなくても自己破産せずに借金は解決できる
シングルマザーの方は子育ての都合などからアルバイト・パートや非正規雇用(契約社員・派遣社員)で働いている人も少なくありません。
「正社員じゃないから債務整理できない」と諦めてしまっている人もいるかもしれませんが、その必要はありません。
正社員ではなくても自己破産以外の方法で借金を解決することは十分可能です。
任意整理は最も簡単な債務整理
「任意整理」は最も一般的で簡易・低廉な債務整理の方法です。
任意整理をすれば、消費者金融・銀行カードローンの「重い利息が免除」され、返済期間を設定し直すので返済がかなり楽になります。
たとえば、120万の借金を抱えていても、5年(60回払い)の任意整理が成功すれば、毎月の返済額は2万円まで減らせます。
任意整理では自分がどのような仕事をしているかを債権者に伝える必要はありません。
毎月の返済額を確保できるのであれば、パートでも契約社員・アルバイトでも問題ありません。
また、任意整理では保有する財産の処分も必要ありません。
預貯金や学資保険といった今後の備えを失うことなく借金だけを解決できるのは大きな魅力です。
「毎月27,000円」の返済が可能なら500万円までの借金は自己破産せずに
解決できる
任意整理は裁判所を用いない私的な話し合いなので、「利息免除のみで借金が減るわけではない」という限界があります。
そのため、借金が多額過ぎるときには、利息免除のみでは完済まで支払い続けることが可能な返済額まで減らないこともあります。
任意整理では解決できない多額の借金を抱えたときでも「個人再生」を利用できれば、自己破産せずに借金を解決することができます。
特に、借金で悩んでいるシングルマザーの場合には、不動産などの高額資産を持っていないことがほとんどなので、大幅な借金減額が期待できます。
たとえば、保有財産が100万円以下の人が個人再生した場合には、「100万円以上500万円以下の借金」は、「100万円」まで減額されます。
個人再生はこの100万円を3年間の分割で返済することで、借金残額の返済を免除してもらう手続きです。
100万円を3年の毎月払いで返済したときの返済額は、月27,000円となります(端数切り捨てで計算)。
シングルマザーが自己破産するときのポイント
自己破産以外の方法で借金を解決するには、毎月の返済額を確保する必要があります。
しかし、シングルマザーの場合には、子どもの世話や子どもにかかる費用が理由で、返済額を確保することが難しい場合もあるでしょう。
その場合には、自己破産ですべての借金を免除してもらうことがベストの場合が少なくありません。
自己破産には悪いイメージをもっている人が少なくありません。
しかし、シングルマザーの場合には自己破産はデメリットがあまりない場合の方が多いといえます。
なぜなら、自己破産しても強制的に処分される財産をあまり持っていない場合の方が多いからです。
ただし、学資保険の解約返戻金が多額な場合には借金が減らないこともあるので注意が必要です(詳細は下で別に解説しています)。
自己破産しても最低限度の財産(現金・家具)は手元に残せる
自己破産の最大のデメリットは保有する財産を強制的に処分される可能性があることです。
しかし、自己破産をしてもすべての財産を失ってしまうわけではありません。
自己破産した後の最低限の生活を保障するために一定の資産を残してあげる必要があるからです。
たとえば、次の財産は、自己破産しても差し押さえられることはありません。
- 99万円までの現金
- 20万円以下の預貯金・有価証券
- 20万円以下の解約返戻金(生命保険・学資保険など)
- テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの家電
- ベッド、タンスなどの家具
- 評価額が20万円以下の自動車
一般的には、現在使用している家具・家電はよほど高価なもの(たとえば100インチのテレビで20万円以上の価値のあるもの)でなければ、差し押さえられることはありません。
自己破産と学資保険
シングルマザーの自己破産(個人再生)で最も注意すべきは、学資保険です。
子どもの高校・大学進学に備えて学資保険を積み立てているシングルマザーは少なくないと思います。
学資保険や生命保険のような貯蓄性のある保険には「解約返戻金」が存在します。
特に学資保険は、生命保険よりも返戻率が高いため、自己破産した際に学資保険の解約が必要となる場合が少なくありません。
また、個人再生の場合にも解約返戻金が清算価値として計上され、借金が減額されない場合もあります。
自己破産による学資保険の解約を回避するには、契約者貸付を利用して解約返戻金を20万円以下まで減らすことも考えられます。
しかし、払い込んだ保険料を取り崩せば学資保険の意義が失われてしまうことの方が多いでしょう。
したがって、学資保険の解約を回避するには、解約返戻金相当額を自由財産(差押えされなかった現金など)から積み立てることで対応するのが最も現実的です。
最近の学資保険には返戻率の低い(その分保険料も安い)商品もあるので、上手に保険を選ぶことも万が一の備えとして重要でしょう。
自己破産と職業制限
シングルマザーの自己破産で注意すべきもうひとつのポイントは、自己破産による資格制限・就業制限です。
たとえば、生命保険募集人や損害保険代理店、警備員は、自己破産によって資格・就業に制限が生じます。
特に、これから「保険レディー」として働こうと考えている人は、募集人資格の取得時期に注意する必要があります。
母親の自己破産は子どもの将来にほとんど影響しない
親の自己破産(債務整理)が「子どもの将来に悪い影響を及ぼす」ことを心配する人も多いと思います。
しかし、実際には、親の自己破産は子どもに直接の悪影響を与えることはありません。
まず、自己破産(債務整理)したことは、戸籍や住民票には記載されません。
当然、パスポートにも記載されませんし、マイナンバーから過去の自己破産を他人に知られることもありません。
債務整理したことの記録は、信用情報に事故情報が登録されることで金融機関に知られることはありますが、5~10年で消去されます。
子どもが小さいうちに自己破産していれば、ブラック情報も子が成人するまでには消去されます。
また、いまでは子が借りる奨学金も親の連帯保証を必要としないものがあります(保証会社を利用するため手数料がかかります)。
高校・大学の面接試験でも子に関わらないこと(親の仕事・収入)を質問することはタブーとされているので、子の進学に悪影響を与えることは考えなくて良いでしょう。
債務整理の費用を捻出する方法
債務整理を確実に成功させるためには、弁護士・司法書士に依頼することが必要です。
また、個人再生・自己破産をするときには、裁判所に納める費用も負担する必要があります。
実際にも、「弁護士費用なんて払えるはずがない」と債務整理を諦めてしまう人も少なくない用です。
しかし、債務整理をするために必要な費用を捻出する方法はたくさん用意されています。
弁護士費用・司法書士費用は分割で支払える
最近では、債務整理を引き受けている弁護士・司法書士事務所のほとんどは、費用の分割払いに応じてくれます。
さらに、弁護士・司法書士に債務整理を依頼すると話し合い・裁判所の手続きが終了するまでは、借金の支払いはストップされます。
弁護士・司法書士費用を分割で支払うことになるので、支払いが二重になる心配はありません。
また、依頼前の相談もほとんどの事務所で無料相談を実施しています。
費用負担に不安があることを含めて弁護士・司法書士に相談すると良いでしょう。
自己破産(同時廃止事件)にかかる費用は数万円程度
裁判所の手続きを用いて債務整理する際には、裁判所にも手続き費用を納付しなければなりません。
裁判所に納める費用としては、申立手数料・官報掲載費用・切手代・予納金があります。
このうち、申立手数料・官報掲載費用・切手代は、あわせても数万円程度の負担で済みます。
しかし、破産管財人・個人再生委員が選任される場合には、20万円前後の予納金を負担する必要があります。
個人再生では、原則としてすべての事件で個人再生委員が選任されるため、手続き費用が高額になりがちです。
自己破産の場合には、同時廃止事件として処理されれば、破産管財人は選任されないので、数万円程度の費用で手続きをすることができます。
同時廃止とは、「債務者に差し押さえるべき財産がない(財産が20万円未満)とき」に用いられる手続きです。
ただし、免責不許可事由があるときには、財産がなくても破産管財人を選任する(管財事件とする)必要があります。
免責不許可事由があるときに裁量免責を与えるには、破産管財人に必要な調査を行わせなければならないからです。
借金問題は深刻化すると、免責不許可事由を抱えるリスクも増えていきます。
同時廃止で処理できれば、費用負担が軽くなるだけでなく、破産手続きの期間も短くなります。
借金が返せないと感じたときには、できるだけ早く弁護士・司法書士に相談して対処しましょう。
法テラス(民事法律扶助)を利用する
経済的に苦しい人が法サービスを利用する支援をしてくれるのが「法テラス」が実施している「民事法律扶助」です。
民事法律扶助を利用すれば、債務整理にかかる費用を立て替えてもらうことができます。
民事法律扶助の利用には、法テラスが定める「資力要件」を満たす必要があります。
資力要件は、「収入要件」と「資産要件」から構成され、世帯人数(子の数)や家賃負担の有無などによって金額が異なります。
シングルマザーの場合の基準額は、下の表にまとめたとおりです。
※1( )は居住地が東京・大阪などの「生活保護1級地」の場合の月収金額
※2( )は東京都特別区の場合の金額
生活保護水準の低収入の場合には、立替金の返済が猶予・免除される
法テラスに債務整理の費用を立て替えてもらったときには、立替払いの契約の2ヶ月後から毎月5,000円もしくは1万円の分割払いで費用を返済します。
しかし、生活保護を受給している場合や、生活保護水準(上記収入要件の70%が目安とされます)程度の収入しかない場合には、立替金の返済を猶予してもらえます。
また、収入が増える見込みがないときには、立替金の返済を免除してもらえる場合もあります。
生活保護受給者の場合には、依頼事件が終了した時点で生活保護を受給していれば、立替金の返済は免除されます。
シングルマザーの人には生活保護受給者も少なくありません。
生活保護を受給していれば、債務整理は持ち出しの費用は一切不要で行うことができます。
「シングルマザーの債務整理」のまとめ
シングルマザーの人は、1人で何役もの役割をこなしていることが多いので、色々と余裕がないことが少なくありません。
家計だけでなく、自分自身の気持ちにゆとりがないことも多いでしょう。
「両親が揃っている家庭には負けたくない」と頑張りすぎるあまりに、1人で問題を抱え込んでしまう場合もあると思います。
借金の問題・生活苦の問題は、本人の努力ではどうしようもない場合があります。
1人で問題を抱え込むことで、どんどん深刻化してしまうことも少なくありません。
弁護士・司法書士に相談することで、精神的な負担が軽くなるだけでも状況が好転することもあり得ます。
また、子どもが小さいうちに借金の問題を解決すれば、子どもが大きくなるにつれ仕事も増やせ生活にゆとりが生まれてくる可能性も高くなります。
借金が少ないうちに債務整理に着手できれば、シングルマザーであっても任意整理で借金を解決できます。
返済が苦しいと感じたときには、できるだけ早く、弁護士・司法書士に相談することをおすすめします。
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でしが、借金問題は後回しにすればするだけ事態は悪化するだけで良い事は一つもありません。
借金問題は、専門家に相談することで思っているよりも簡単に問題を解決し新しい生活を送ることができます。
実際に、借金問題を解決した多くの人が『こんなに簡単に終わるならもっと早く相談しておけば良かった』と言います。
取り返しのつかなくなる前に、1日も早く相談を行い借金に苦しまない新しい生活をスタートしましょう。
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