借金を払えなくなって自己破産を考えている人の中には、「仕事を失ってしまったらどうしよう…」「自己破産しても再就職できるの?」と心配している人も多いのではないでしょうか?
自己破産しても、それまでどおり仕事を続けることも可能ですし、再就職もできますので安心してください。
ここでは、自己破産の仕事への影響について説明します。
自己破産後の再就職を考えている方も、参考にしていただければ幸いです。
また、大切なことなので最初に結論からお伝えします。
『1年以上、借金の返済総額が減っていないor増えている。』
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それでは解説をしていきます。
自己破産の基礎知識
まずは、自己破産について、基本的な知識をおさらいしておきましょう。
自己破産すれば借金がなくなる
自己破産は、借金の返済が不可能な状態であることを裁判所に認めてもらい、借金の支払義務を免除してもらう制度です。
厳密には、自己破産した後、免責許可を受けることで、借金がなくなります。
自己破産には2種類ある
自己破産は、手持ちの財産があるかどうかで、管財事件と同時廃止事件に分かれます。
管財事件
財産がある場合には管財事件となります。
管財事件では、破産手続きにおいて財産を換金し、債権者に多少なりとも支払う必要があります。
同時廃止事件
財産がない場合には、同時廃止事件となります。
同時廃止事件では、破産手続き開始と同時に手続き終了となり、破産後の手続きは免責許可を受けるだけです。
自己破産したら仕事をやめなければならない?
自己破産を考えるとき、いちばん心配なのは「今の仕事をやめなければならないのか?」ということなのではないでしょうか?
自己破産しても、実際には仕事に影響がないことがほとんどです。
自己破産しても仕事は続けられる
自己破産しても、仕事をやめる必要はありません。
後で詳しく説明しますが、自己破産により制限を受ける仕事もあります。
しかし、それ以外の仕事では、自己破産が影響することはほとんどないと考えていいでしょう。
自己破産しても、通常は勤務先にバレることもありません。
勤務先からお金を借りていて、勤務先が債権者になっていれば、裁判所から勤務先に通知がいきます。
そのような事情がなければ、勤務先が自己破産をしたことを知る可能性はほとんどないでしょう。
自己破産しても給料を差押えされることはない
自己破産すれば、給料を差押えされ、勤務先にバレるのではないかと心配な人もいると思います。
自己破産の手続きをとっても、給料を差押えられることはありません。
むしろ、給料の差押えを恐れているなら、自己破産の手続きをとるべきでしょう。
差押えは、特定の債権者が自らの債権を確保するために行うものです。
自己破産をすれば、すべての債権者が平等に扱われるため、特定の債権者が給料の差押えをすることはできなくなります。
また、破産手続開始後に支払われた給料は、「新得財産」と言って、破産手続きとは関係がありません。
自己破産しても、勤務先から受け取った給料は、自由に使うことができます。
自己破産が影響する職種もある
自己破産により制限を受ける職種もあります。
しかし、制限を受ける期間はそれほど長くはないため、仕事をやめなくてもよい場合があります。
自己破産で職業制限を受ける職種
資格の取得や登録が要件となっている職種では、自己破産した人は欠格事由に該当し、仕事ができないことがあります。
たとえば、破産者は、次のような職種につくことができません。
【士業】
弁護士、司法書士、行政書士、税理士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、公認会計士、社会保険労務士、弁理士、中小企業診断士、宅地建物取引士、通関士など
【公務員】
公証人、人事院の人事官、国家公安委員会委員、都道府県公安委員会委員、公正取引委員会委員など
【団体・企業の役員】
商工会議所、証券会社、投資顧問業、金融商品取引業、日本銀行、信用金庫、労働者派遣業、保険代理店など
【その他】
貸金業、警備員、不動産鑑定業、質屋、旅行業、生命保険募集人、警備員、建設業、廃棄物処理業者など
職業制限を受けるのは3~6か月程度
自己破産で職業制限を受けるのは、破産手続開始決定後、免責許可を受けるまでの間です。
免責許可を受けると、破産者ではなくなるため、復権することになります。
破産手続開始決定後、免責許可が確定するまでは、3~6か月程度です。
職業制限を受ける期間は資格の登録ができませんが、資格を剥奪されるわけではありません。
復権すれば、再び仕事ができるようになります。破産したからと言って、仕事をやめなくてもよいということです。
自己破産の手続き中も再就職は可能
自己破産を申し立てた後、再就職したいこともあるでしょう。
自己破産の手続き中でも、再就職すること自体には特に問題はありません。
自己破産は再就職に大きな影響はない
自己破産する場合でも仕事をやめる必要はありませんが、自己破産の申し立て前後に仕事をやめることになり、再就職したいこともあるでしょう。
自己破産の手続き中であっても、再就職をするのに特に制限はありません。
上に書いたとおり、自己破産が欠格事由になる職種もあります。
自己破産中、職業制限を受ける職種には当然ですが再就職できません。
しかし、それ以外の職種であれば、普通に再就職ができます。
再就職でもらった給料は処分しなければならない?
破産手続き中に再就職した場合、再就職後の給料は新得財産になるため、自由に使うことができます。
なお、破産手続き前に再就職してもらった給料については、給料か否かで処分が決まるわけではありません。
現金や預金として20万円以上が手元にあれば、管財事件となるため、20万円を超える部分については処分の対象となるのが原則です。
ただし、20万円を超えていても、元が給料の場合には、自由財産の拡張が認められる可能性があります。
自己破産後に再就職する場合の注意点
自己破産後に再就職する場合には、次のような点に気を付けておきましょう。
自己破産したことは申告する必要はない
自己破産したことは、履歴書に書く必要は全くありません。
もちろん、面接で言う必要もないです。
面接で自己破産について聞かれることは普通ないと思いますが、もし聞かれても、正直に申告する義務はありません。
職業制限を受ける場合には免責になるまで待つ
職業制限を受ける職種には、破産手続き中は就くことができません。
再就職を希望する場合にも、免責許可が確定するまで待った方がよいでしょう。
金融機関に再就職するときにはバレる可能性大
自己破産すれば、ブラックリストに載ります。
「ブラックリスト」に載るとは、信用情報機関に金融事故の情報が登録されることです。
金融機関では、信用情報を照会できるので、過去の金融事故について調べられる可能性があります。
自己破産を申し立てる前であっても、借金の延滞をしていれば、ブラックリストに載っているはずです。
また、自己破産した後も、長ければ10年程度ブラックリストに載ったままになります。
ブラックリストに載っている間は、金融機関に再就職するのは難しいでしょう。
自己破産を理由に解雇されたら
再就職をした後で自己破産がバレてしまうと、解雇されるのではないかという心配もあると思います。
自己破産を理由に解雇することは、法律上も許されることではありません。
もし自己破産したことを理由に職場で不利な扱いを受けるようなことがあったら、弁護士に相談するようにしましょう。
まとめ
自己破産をしても、再就職は可能です。
ただし、自己破産後免責までは就くことができない職種があります。
金融機関へ再就職を希望する場合にも、自己破産が影響してしまいますから、注意しておきましょう。
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