債務整理をすると住宅ローンは組めない?今の住宅ローンはどうなるのか解説

債務整理を検討する際に,特に気になる点として,住宅ローンとの関係があるのではないでしょうか。

住宅ローンの関係といっても,今はまだ住宅ローンを組んでいなくて,債務整理をした後に住宅ローンを組むことができるのだろうかと不安に思っている人もいると思います。

一方,すでに住宅ローンを組んでいて,返済中だけど,住宅ローンやその他の借金の負担が重くなってきたために債務整理をしたいというような人にとっては,今返済中の住宅ローンはどうなるのかということが大変大きな問題だと思います。

この記事では,債務整理をした後に住宅ローンを組むことができるのかという点と,現在返済中の住宅ローンがある場合に債務整理をするとどうなるのかという点に分けて,債務整理と住宅ローンの関係について,詳しく説明してきます。

また、大切なことなので最初に結論からお伝えします。

『1年以上、借金の返済総額が減っていないor増えている。』

『このまま借金を完済するのは厳しいのは分かっているけど、利息だけ毎月支払うような状態が1年以上続いている。』

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それでは解説をしていきます。

債務整理をすると住宅ローンは組めないのか?

まず,債務整理後に住宅ローンを組むことができるのかどうかについて,説明します。

不安に思う人が多いですが,実際には,一生住宅ローンが組めないかというそういうわけではない可能性が高いです。

もっとも,少なくとも,一定期間は,住宅ローンを組むのは難しいでしょう。

それは,債務整理をすると,いわゆる「ブラックストに載る」という状態になるためです。

ブラックリストとは

「ブラックリストに載る。」という言葉は,一般にもよく聞かれる言葉だとは思いますが,そもそも正確にはどういうことなのでしょうか?

まず,「ブラックリスト」という名前のリストは,実際には存在するわけではありません。借金の返済を延滞した場合や,債務整理をした場合などに,その情報が“「信用情報機関」に金融事故情報として登録される“ということが,ブラックリストに載ると表現されているのです。

この信用情報機関には,次の3つがあります。

① 全国銀行個人信用情報センター
② 株式会社 シー・アイ・シー(CIC)
③ 株式会社日本信用情報機構(JICC)

銀行等が,住宅ローンの審査をする際には,この信用情報機関の個人信用情報を確認することになります。

債務整理をすると,「事故情報」として登録されてしまうので,銀行はその事実を知ることができます。

そのため,債務整理をした場合,ローンの審査に通るのが極めて困難になるのです。

もっとも,いつまでも事故情報が登録されているわけではありません。

一定期間を過ぎると削除されることになっているのです。

以下,それぞれの機関ごとに,登録内容と登録期間について,まとめてみました。

・全国銀行個人信用情報センター(参照:情報の登録期間

任意整理の場合…「任意整理をした」旨明確に記載されるわけではありません。

しかし,延滞情報や,保証会社による代位弁済の情報は登録されます。

任意整理を行う際には,代位弁済が実施される場合が多いので,事故情報として残ることになるでしょう。

登録の期間は,「5年を超えない期間」とされています。

自己破産・個人再生の場合…自己破産や個人再生を行った場合には,官報に掲載されることになります。

全国銀行個人信用情報センターでは,官報情報が登録されることになっています。

登録期間は,「決定日から10年を超えない期間」とされています。

・CIC(参照:CICが保有する信用情報

任意整理の場合…全国銀行個人信用情報センターと同じように,「任意整理をした」旨明確に記載されるわけではありません。

しかし,毎月の支払状況は登録されます。

長期にわたる支払いの遅れ(61日以上または3か月以上)がある場合や,保証会社が代わりに返済したような場合には,「異動」と表示されることになっていますので,任意整理を行ったことが推測され得る情報は登録されるといってよいでしょう。

登録の期間は,「5年以内」とされています。

個人再生の場合…任意整理の場合と同じように,直接「個人再生をした」と記載されるわけではありません。

しかし,延滞情報や,「異動」の表示が登録されます。

自己破産の場合…自己破産をした場合,「異動」情報として登録されます。

登録機関は,「契約期間中および契約終了後5年以内」です。

・JICC(参照:登録内容と登録期間

任意整理の場合…JICCの場合は,「債務整理」と明確に登録されることになります。

登録期間は,「当該事実の発生日から5年を超えない期間」とされています。

自己破産・個人再生の場合…こちらについても,「破産申立」や「民事再生」と,明確に記載されることになります。

登録期間は,「当該事実の発生日から5年を超えない期間」です。

以上,簡単にまとめますと,任意再生の場合には5年間程度,自己破産や個人再生の場合は,10年間程度,ブラックリストに載っている状態が続くということになります。

期間経過後,事故情報は,自動的に削除されます。

信用情報開示請求

もっとも,各信用情報機関は,「〇年以内」「〇年を超えない期間」などと定めているだけですので,正確にいつ事故情報が削除されるのかは,わかりません。

そこで,自分がブラックリストに載っているのかどうかわからない状態ということがあり得ますので,その情報を開示してもらうことのできる制度が用意されています。

「本人開示の手続き」「情報開示手続き」などといわれています。

各信用情報期間が用意している制度で,それぞれのホームページから確認すれば,比較的簡単に手続きをとることができます。

一度ローンの審査に落ちると,さらにその後の審査に通りにくくなりますから,住宅ローンを申し込む前に,自分がブラックリストに載っているかどうかは確認しておくとよいでしょう。

金融事故のあった金融機関での借り入れは難しい

債務整理をした際に借金があった(金融事故のあった)金融機関での借り入れは,その他の金融機関からの借り入れよりもさらに難しい場合がほとんどであるといってよいでしょう。

信用情報機関の事故情報は,先ほどの説明のように,一定期間を過ぎると削除されることが決められていますが,まさに金融事故の当事者であった金融機関においては,その情報は,独自に残されています。

そのため,ブラックリストに載る一定期間が過ぎて事故情報が削除されたとしても,債務整理の際に借金をしていた先の金融機関は,債務整理をした事実を確認することができるので,住宅ローンの審査を通すことは通常しないのです。

したがって,審査に通る可能性を上げるためには,債務整理を行ったときに借金をしていなかった金融機関を選んで,住宅ローンの申込みをしなければなりません


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債務整理をすると住宅ローンはどうなるのか?

それでは,次に,住宅ローンの返済中に債務整理をすると住宅ローンやマイホームどうなるのかについて,見ていきましょう。

住宅ローンがある場合の債務整理の方法には,大きく分けて,“住宅ローンは債務整理の対象から外して支払いを続けていく(債務整理をしても住宅ローンは残る)”というパターンと,住宅ローンを支払うのが難しいために債務整理の対象にしてしまう“というパターンの2つがあります。

また,債務整理以外に,自宅を手放すことを前提とした生活再建の方法として,任意売却という方法もあります。

以下,それぞれについて,説明していきます。

住宅ローンが払えないとどうなるのか

そもそも,住宅ローンが支払えなくなると,マイホームはどうなるのでしょうか。

他の借金が大きくなってしまった,収入が減ったなどの理由で,住宅ローンの支払いが難しくなり,返済が滞る状態がある程度続くと,通常,自宅の土地建物は競売にかけられて,売却処分されることになります。

まだローンが残っている住宅には,住宅ローンの抵当権が付いていますので,支払いが滞った場合には,抵当権が実行されてしまうのです。

住宅ローンを債務整理の対象にしない方法 ~任意整理と個人再生

住宅ローンを対象にしない債務整理の方法には,任意整理と個人再生があります。

任意整理は,裁判所などを通さない任意の手続きですので,整理する対象の借金を自分で選ぶことができます。

そのため,住宅ローン以外の借金についてのみ債権者と交渉して総額を減らしてもらったり分割の回数を減らしてもらったりすることで借金の負担を減らし,住宅ローンについては,そのまま支払い続けるということができるのです。

これにより,債務整理をしてもマイホームが競売にかけられるのを避けることができます。

なお,このように住宅ローンを払い続けることを選択する場合には,住宅ローンの金融会社に,「リスケ(リスケジュール)」の相談をすることが考えられます。

リスケとは,返済期間を延長してもらったり,一時的に返済を猶予してもらったりといった返済条件の見直しをしてもらうことによって,住宅ローンの負担を減らすことをいいます。

各金融機関によって諸条件がありますし,大きな負担減は期待できませんが,相談してみる価値はあるでしょう。

次に個人再生ですが,個人再生は,裁判所を通す手続きで,「債権者平等の原則」がありますので,基本的には,勝手に対象とする借金を選択することはできません。

もっとも,個人再生には,住宅ローン特則というものがあります。この制度を利用することで,住宅ローン以外の借金を減額しつつも,住宅ローンだけは特別に支払い続けることができるのです。

これにより,任意整理の場合と同じように,マイホームを競売で失うことを避けることができます。

また,場合によっては,返済期間を延ばしてもらったりすることも可能です。

なお,住宅ローン特則の利用には様々な条件がありますし,手続きも複雑になってきますので,専門家である弁護士に依頼して進めることを強くおすすめします。

住宅ローンを債務整理の対象にする方法

個人再生の場合にも,住宅ローン特則を使わない場合には,原則通り,住宅ローンも個人再生の対象になります。

もっとも,住宅を残せないのであれば,その他の事情にもよりますが,個人再生ではなく自己破産を選択するケースの方が多いでしょう。

自己破産の場合,全ての借金を対象にしなければなりません。

個人再生のような例外は認められていないのです。

そのため,自己破産をする場合には,基本的に,自宅は手放すことになります。

これは,自己破産の大きなデメリットといえるかもしれませんが,その代わりに,住宅ローンも含めて借金が全て免除されることになるという大きなメリットを得ることができます。

借金の総額が大きく,減額したとしても返済の見通しが立たないような場合には,自己破産を選択することになります。

任意売却

任意売却とは,住宅ローンの債権者の許可を得て,競売によらずに,任意に,不動産を売却する手続きのことをいいます。

債務整理ではありませんが,債務整理と併用することもありますし,債務整理を検討する場合に,任意売却の可能性を探ることも多いです。

一般的に,競売によって売却された場合には,普通に売却するよりも価格がかなり下がってしまいます。

任意売却をすると,市場価格で売却することができるため,競売よりも,ローンの返済にあてられるお金が多く見込めるのです。

このように,任意売却は,債権者にとってメリットがある手続きですので,任意売却の場合には,債権者が引っ越し費用を負担してくれたりするなど,債務者にとってもメリットがあることがあります。

債務整理と任意整理の関係ですが,任意売却によって住宅ローンがかなり減る場合には,任意売却を行うことで債務整理の必要がなくなるというケースもあります。

一方,任意売却によっても返しきれないローンが残ってしまうような場合には,債務整理を行うことになります。

まとめ

このように,債務整理をしたからといって,必ずしも住宅ローンを組むことをあきらめなければならないわけではありません。

また,住宅ローンがあるから,マイホームをどうしても手放したくないからといって,必ずしも債務整理の手続きをとることができないというわけでもありません。

ただし,住宅ローンが絡んでくると,どのような方法を選択するのかの判断も難しくなってきますし,手続きも難しくなってきます。

専門家でない人が自分で全て対処しようとするのは,かなり危険です。

借金問題の専門家である弁護士に相談することで,解決方法を提案してもらうことができますし,弁護士に依頼すれば,複雑な手続きもスムーズに進めることができます。

早めに,弁護士に相談することをおすすめします。

 

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