最近では、アルバイト暮らしの人でもクレジットカードを持つことができ、消費者金融・銀行からの借金もできることが増えました。
アルバイトは、正社員に比べ、収入が不安定になりがちです。
また、アルバイト先の都合などで突然雇用が打ち切られるリスクもあります。
そのため、1度返済に行き詰まった借金を自力で解決することは簡単ではありません。
自力で完済できなくなった借金は、「債務整理」で解決するのがベストです。
アルバイトの掛け持ちをしたり、シフトを増やしたりして収入を増やすことは、必ずしも簡単ではないからです。
バイト先の都合でシフトを増やせないという場合もあるでしょう。
アルバイトの人には、「アルバイトでは債務整理できない」、「自己破産はデメリットだらけだからしたくない」と考えている人もいるかもしれません。
しかし、アルバイトだからといって、自己破産以外の債務整理ができないわけではありません。
また、アルバイトの人の場合には、自己破産が最も有利な債務整理である場合もあります。
そこで、今回は、債務整理の5つの方法と、アルバイトの人が債務整理するときに知っておきたい6つのポイントについて解説します。
借金問題は、解決を先送りにしても状況が悪化するだけです。
完済が難しいと感じたときにはできるだけ早く弁護士・司法書士に相談することが大切です。
また、大切なことなので最初に結論からお伝えします。
『1年以上、借金の返済総額が減っていないor増えている。』
『このまま借金を完済するのは厳しいのは分かっているけど、利息だけ毎月支払うような状態が1年以上続いている。』
このような状態になっている方は、既に黄色信号が点滅している状態です。
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それでは解説をしていきます。
債務整理の5つの方法
債務整理は自己破産しかないと思っている人は少なくないようですが、実は違います。
債務整理にはさまざまな方法が用意されています。
債務整理の方法としては、次の5つがあります。
・過払い金請求
・任意整理(和解)
・特定調停
・個人再生
・自己破産
収入や借金額に応じて最適の方法を選択することで、債務整理のデメリットを最小限に抑えることが可能です。
過去の返済分で借金がなくなるかもしれない過払い金請求
アルバイト生活が長い人には、10年以上借金の返済が続いている人もいるかもしれません。
ずっと前から消費者金融や銀行カードローン、クレジットカードで借金している人の場合には、「過払い金」の返金を受けられる可能性があります。
「過払い金」とは、支払う必要のなかった違法金利分のことです。
一般的には2008年以前の借金であれば、過払い金がある可能性があります(違法金利が設定されていた時期は金融機関によって異なります)。
借金している(返済している)期間が長ければ、借金が減るだけでなく、借金がゼロになった上でさらにお金が戻ってくることもあります。
ただし、過払い金請求には次の点で注意が必要です。
・クレジットカードのショッピング枠には過払い金は発生しない
・最後の返済から10年経過で過払い金の消滅時効が完成する
すでに完済してしまった場合であっても、最後の取引(返済)から10年以内であれば、過払い金の返還を求めることができます。
ただし、ほとんどの金融機関は2008年までに違法金利での貸付をやめています。
したがって、この記事を作成した時点(2008年11月)では、消滅時効完成寸前の過払い金も少なくありません。
過払い金を返還してもらえる可能性のある人は、できるだけ早く弁護士・司法書士に相談すると良いでしょう。
なお、「完済済みのケースで過払い金を返してもらうだけ」であるならば、信用情報に傷が付くことはありません。
借金を分割で返しやすくする3つの手続き
「任意整理」、「特定調停」、「個人再生」は、借金を分割で返済する債務整理です。
債務整理をすれば今後の利息はすべて免除されるので、分割返済の対象になるのは、「実際に借りた金額(の一部)」です。
それぞれの違いを簡単にまとめると次の通りになります。
・任意整理は裁判所を用いずに債権者と交渉するので手続きが簡単
・任意整理では債権者の同意を取り付ける必要がある(強制できない)
・特定調停・個人再生は、裁判所に「分割払いの決定」をしてもらえる
・特定調停後に返済を怠ると強制執行される
・個人再生では、借金の一部を免除してもらえる場合がある
・分割返済の期間は、3年から5年(裁判所の手続きは原則3年)
とても返せない借金は自己破産で解決
アルバイトの人が数百万円の借金を抱えた場合には、「分割払いの債務整理」では解決できないことがあります。
理屈の上では、「毎月返済可能な金額に減るまで」返済回数を伸ばせば分割で返せますが、そこまで債権者は待ってくれません。
一般的には、5年前後までの期間で分割返済できないときには、自己破産を選択すべき場合が多いといえます。
自己破産し免責を受けることができれば、残った借金の返済はすべて免除されます。
ただし、破産手続き開始の時点で一定額以上(20万円以上が目安)の財産を保有しているときには、それらを処分しなければなりません。
アルバイトはすべての方法を利用できる
アルバイトだから「債務整理は自己破産しか使えない」と思っている人は少なくないようです。
しかし、正規雇用でない人だからといって、任意整理(特定調停)、個人再生が利用できないことはありません。
分割返済できるだけの収入があれば、仕事の種類を問わず分割返済する債務整理を利用することができます。
したがって、債務整理の選択肢を多く残すためには、「借金が膨らみきる前」に着手することが大切なのです。
アルバイトの人は正規雇用の人に比べ収入が少ない場合が多いので、着手が遅れると自己破産しか選択肢が残らないおそれが高くなるからです。
アルバイトの人が債務整理するときに知っておきたいポイント
アルバイトは、正規雇用の人に比べ、収入が少なく、身分も不安定です。
また、保有財産も少ない場合が多いと思います。
それらをふまえて、アルバイトの人が債務整理する際の重要ポイントについてまとめてみました。
債務整理にかかる費用
債務整理には一定の費用がかかります。
また、弁護士や司法書士に債務整理を依頼すれば、その報酬も支払わなければなりません。
「弁護士・司法書士報酬は高いから支払えない」と思い込んでいる人も多いかもしれませんが、実際には多くの人が何とか報酬を工面しています。
任意整理で解決できる場合には、弁護士・司法書士報酬は、それほど多額ではない場合もあります。
任意整理の報酬額は、借金額ではなく「債権者の数」に応じて決まるからです。
たとえば、債権者が1社であれば、5万円前後の費用で任意整理できる場合もあります(実際の報酬額は事務所ごとに異なります)。
また、弁護士・司法書士報酬は、ほとんどの事務所において分割で支払うことが可能です。
債務整理を依頼すると、しばらくの間借金返済を停止します。
その間に弁護士・司法書士報酬の分割払いを済ませるので、借金返済と報酬の支払いが重なることもありません。
さらに、低収入の人であれば、「法テラス(民事法律扶助)」による立て替え払いを利用できる場合があります。
利用可能となる目安は、月収18万円(東京などの大都市部では20万円)です(単身者の場合)。
家賃負担がある場合や、扶養家族がいる場合などにはそれよりも収入が多くても民事法律扶助を利用することができます。
立て替えてもらった費用は、毎月1万円(難しい場合には5,000円)ずつの分割返済となります。
法テラスの利用についても、弁護士・司法書士に相談することができます。
債務整理にかかる相談は、ほとんどの事務所では無料です。
「お金がない」と諦めずにまずは相談してみることが大切です。
特定調停をおすすめできない理由
弁護士・司法書士費用がどうしても工面できないときには、「特定調停」の利用を検討することがあります。
芸能人のカンニング竹山さんが多額の借金解決のために特定調停を利用したことはよく知られています。
知人・友人が過去に特定調停で借金を解決したという話を聴いたことがある人もいるかもしれません。
特定調停は、裁判所で行う任意整理(和解)のようなものです。
裁判所に選任された「調停委員」が債権者との話し合いを取り持ってくれます。
そのため、弁護士・司法書士に依頼せずとも、分割払いのための話し合いを進めることができます。
また、「調停に代わる決定」をしてもらえれば、債権者の同意を得られない場合でも、分割払いの取り決めをすることができます。
しかし、特定調停には次のような手続き的なデメリットがあります。
・特定調停の成否は、調停委員の能力や熱意に大きく左右される
・誰が調停委員になるかは手続きが始まらないとわからない
・「3年を超える分割払い」を認めてもらえないことも少なくない
・遅延損害金をカットしてもらえないことがある
・調停が成立すると、「債務名義」が作成される
以上のような限界から、特定調停は、任意整理や個人再生よりも「毎月の返済条件」が不利になる(返済額が多くなる)ことが少なくありません。
また、債務名義が作成されることで、調停成立後の分割返済に遅延が生じると「強制執行」されるリスクも生じます。
任意整理や個人再生では、分割返済が滞っただけで強制執行されることはありません(債務名義作成済みの借金を延滞した場合を除きます)。
そのため、平成12年に特定調停が創設された当初は、年30万件以上あった申立ても、現在では年数千件程度です(平成28年度は約3,000件)。
任意整理したときの返済額
アルバイトの人に限らず、借金問題は「任意整理で解決できる」のがベストといえます。
任意整理であれば、費用も節約でき、裁判所に提出する書類を作成する手間もなく、プライバシーも手厚く保護される(官報公告がない)からです。
しかし、任意整理は裁判所を用いない手続きであるため、次のような限界があります。
・債権者の同意が必要
・借金を減額してもらうことはできない
裁判所の手続きではないため、債権者に交渉を強制することはできません。
したがって、「延滞状況が悪質すぎる」、「借金してからほとんど返済していない」といった事情があれば、任意整理の話し合いにすら応じてもらえない場合もあります。
また、現在の借金額を減らしてもらうことも任意整理では難しいといえます(まとまった金額を一括で返済できる場合を除く)。
したがって、借金額が多すぎれば、利息の免除だけでは分割返済できない(収入が足りない)場合もあります。
一般的な目安としては、5年(60回)の分割で完済できる金額が、任意整理で対応できるラインだと思っておけばよいでしょう。
たとえば、毎月2万円の返済が可能であれば、120万円までの借金は任意整理で解決できる可能性が高いということです。
ただし、中小の消費者金融などが債権者の場合には、3年を超える任意整理には応じてもらえない、そもそも任意整理には応じてもらえない場合もあるので注意が必要です(債権者に体力がないため)。
個人再生の利用条件と毎月の返済額
個人再生を利用するためには、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある」必要があります。
アルバイトは正規雇用に比べ身分は不安定ですが、必ずしも個人再生を利用できないというわけではありません。
個人再生(小規模個人再生)の利用条件を満たすかどうかは、「勤務形態(アルバイトか正社員か)」ではなく、「勤務実態」から判断されます。
一般的には、「現実に働いていて、毎月の分割払いを実行できるだけの収入がある」のであれば、「現在の雇用(アルバイト)が打ち切られることが確実にわかっている場合」を除けば、個人再生を利用することができます。
また、アルバイトであっても「毎月の収入額の変動が小さい」ことが年収などから推測できるときには、「給与所得者等再生」を利用することもできます。
給与所得者等再生を利用できれば、債権者の同意が得られなくても個人再生することが可能です。
アルバイトの人が個人再生を利用すれば、借金が大幅に減額になる可能性が高いといえます。
アルバイトの人は、100万円を超える財産を持っていることは珍しいからです。
たとえば、財産が100万円未満の人が個人再生すると、100万円~500万円の借金は、「100万円を分割返済する」ことで「残額の返済が免除」されます。
分割返済の期間は、原則3年ですが、収入不足などの場合には最大で5年まで延長してもらうことができます。
したがって、「毎月16,000円(5年の場合)~27,000円(3年の場合)」を支払えるのであれば、500万円の借金であっても自己破産せずに解決することが可能です。
なお、個人再生での分割返済(計画返済)は、毎月である必要はありません。
返済のペースは3ヶ月に1回以上の頻度であれば良いとされているので、収入に変動がある場合でもある程度は柔軟に対応することができます。
自己破産はデメリットよりメリットの方が大きい
アルバイトの人が500万円を超える借金を作ることは実際にはあまりないと思います。
したがって、毎月16,000円以上の収入が見込めるのであれば、自己破産せずに個人再生で解決できる場合が多いといえます。
しかし、勤務状況や費用工面の問題、毎月の生活費負担などの事情で、分割払いでの返済が難しい場合もあるでしょう。
その場合には、自己破産ですべての借金を免除してもらうことで解決するほかありません。
「自己破産するのは抵抗を感じる」という人も少なくないかもしれません。
しかし、アルバイトの人の自己破産は、あまりデメリットがない場合も少なくありません。
自己破産の最大のデメリットは「財産の強制処分」ですが、アルバイトの人の場合には強制処分される財産がないことが多いからです。
自己破産したときに差し押さえられる財産は、「高額な資産(20万円を超えるかどうかが目安)」に限られます。
生活に必要な家具や家電(テレビ・冷蔵庫など)は差押えの対象になりません。
また、今後の生活のために99万円までの財産は手元に残すこともできます。
逆に、一切の返済が不要な債務整理は自己破産だけです。
財産がない人の場合であれば、自己破産にかかる費用も数万円程度で済みます(弁護士費用は別途、免責不許可事由に該当しない場合)。
実は、自己破産は最も早く生活を建て直せる債務整理の方法なのです。
警備員のアルバイトと自己破産
自己破産のデメリットのひとつに、一定の職業・資格の制限があります。
資格制限はいわゆる「〇〇士」という資格(弁護士・宅地建物取引士など)に適用されるので、アルバイトの人は基本的に無関係です。
就業制限も、適用される職種は限定的なので、基本的には心配する必要はありません。
しかし、警備員のアルバイトをしている人は注意が必要です。
自己破産すると、一定期間の間、警備業に従事することができなくなるからです。
自己破産した人が警備業に従事できないのは、「破産手続き開始決定から復権まで」です。
通常の自己破産では、免責の確定によって復権するので、破産手続き開始決定から3~6ヶ月程度は、警備員のアルバイトをすることができません。
警備員のアルバイトをしている人が自己破産するときには、アルバイト先への報告相談が必須になるので注意しましょう。
なお、警備員の債務整理については下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。
まとめ
アルバイトであることが債務整理に悪い影響を与えることは、実際にはあまりありません。
アルバイトであっても、きちんと働いていれば、すべての債務整理の方法を利用することができるからです。
しかし、自己破産を回避するため、安い費用で債務整理するためには、状況が悪化する前に債務整理に踏み切ることが大切です。
借金額が増えれば、任意整理・個人再生で解決できる可能性が減り、状況が悪化すれば、免責不許可事由を抱え自己破産する際の費用が高くなるからです。
いまではほとんどの弁護士・司法書士事務所で債務整理の相談を無料で受けることができます。
借金の返済が苦しいと感じたときには、さらに借金してしまう前に、弁護士・司法書士に相談して早期に解決しましょう。
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でしが、借金問題は後回しにすればするだけ事態は悪化するだけで良い事は一つもありません。
借金問題は、専門家に相談することで思っているよりも簡単に問題を解決し新しい生活を送ることができます。
実際に、借金問題を解決した多くの人が『こんなに簡単に終わるならもっと早く相談しておけば良かった』と言います。
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