連帯保証人がいる場合の債務整理はどのような影響がある?対応方法も解説

「今借りているお金、連帯保証人がついてるものがあるから、自己破産ができない…」

「連帯保証人の親に迷惑はかけられないなぁ…」

借金をした際に連帯保証人がついてる場合に、債務整理をしたら連帯保証人に迷惑をかけるから頑張るしかない…と思ってしまいます。

では全く対処方法はないのでしょうか。

このページでは、連帯保証人がいる場合に債務整理をするとどのようになるのか、対応方法についてお伝えします。

また、大切なことなので最初に結論からお伝えします。

『1年以上、借金の返済総額が減っていないor増えている。』

『このまま借金を完済するのは厳しいのは分かっているけど、利息だけ毎月支払うような状態が1年以上続いている。』

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それでは解説をしていきます。

連帯保証人の基本的な事について知ろう

まず、連帯保証人の基本的な知識について確認しましょう。

連帯保証人の法律に関する基本

まずは連帯保証人の法律についてです。

保証債務・保証人というものはどのようなものか

保証債務・保証人というものについての法律の仕組みについて確認しましょう。

たとえば、ある人とある人が商売上の取引をするとします。

お金を払ってもらう立場にある人が発生したときに、そのお金の支払いがきちんとされるかどうかが不安な場合には、取引をしないという判断をすることもあるでしょう。

そこで、もしある人がお金が払えない場合に、お金を払ってもらう立場の人が居たならば、債権者としても安心して取引ができるという事になります。

この変わりにお金を払ってもらうことができる人が保証人で、債権者と保証人との間にはある債務の保証契約が結ばれるのです。

保証債務は、保証人として金銭を支払うべき債務のことをいいます。

連帯保証人とは

保証について規定している民法には、通常の保証とは別に連帯保証というものを規定しています。

上記のようにあくまで保証債務は、主債務者が支払えなくなった場合に支払うというものです。

ですので、通常の保証では、主債務者に請求をして、主債務者が支払えなくなったときに連帯保証人に請求をしてください、といえる事になっています。

連帯保証人にまず請求された場合に、まず主債務者に請求してくださいと主張できることが「催告の抗弁」です。

主債務者が払えなくなった時にこちらに請求してくださいと主張するのが「検索の抗弁」です。

連帯保証人は、通常の保証人と違って、検索の抗弁と催告の抗弁の主張ができません。

つまり、債権者が最初から保証人に主張をしても、保証人は請求を拒めないということです。

ただ、借金のような場合には、債権者も一応主債務者に請求するのが通常です。

保証人が返済をしたら主債務者に請求することができるようになるのが求償権

保証人が支払いをした場合、覚悟していたこととはいえ、一方的に支払いを余儀なくされたわけですが、その後はどのような主張をすることが可能なのでしょうか。

保証人が支払いを余儀なくされた分は本来主債務者が払うべきものです。

とすれば、保証人が主債務者に請求できる権利が発生するのが筋だということになりますね。

ですので、法律で、保証人が支払ったような場合には、求償権という権利を取得することになっており、これにより主債務者に対して請求をすることができるようになっています。

よくある連帯保証人について確認

どのような場合に連帯保証人がついていることがあるかを確認しましょう。

住宅ローンの連帯保証人

よくあるのが、住宅ローンの借り入れをする際に、家族が連帯所保証人になることがあります。

夫婦で住宅ローンを組む際に、夫が主債務者・妻や親が連帯保証人になることが多いです。

奨学金の連帯保証人

大学・専門学校に進学をする際に学費の借り入れをするために奨学金を利用する方もいます。

奨学金については、進学をする人が主債務者・親のどちらかが連帯保証人になることがほとんどです。

ただ、この場合の連帯保証は半分までしかしていないのですが、全額の支払いを求められることが多いことが社会問題となりました。

中小の貸金業者から借り入れをするときの連帯保証人

大手の貸金業者から借り入れをする場合には連帯保証人をつけるという事はめったにありません。

しかし、中小の貸金業者から借り入れをする際に、連帯保証人が求められることがあります。

中小の貸金業者は、大手の貸金業者複数から借り入れを行い、借り入れができなくなってやっと探されることが多く、申込をしてきた顧客がすでに何社かから借り入れをしている事が多いのです。

そのため、連帯保証人を取るなどして、回収を確実にしようとすることがあります。

会社への貸付について代表取締役が連帯保証

会社にお金を貸しつける時に、代表取締役などの役員が連帯保証人になってもらうことが、中小規模の会社を中心に行われています。

中小規模の会社は経営が不安定で、起業などにあたって貸付を受けても倒産することは珍しくありません。

そのため、代表取締役などの役員に連帯保証人になってもらって、回収を確実にしています。

起業資金・商工ローンなどの事業者の連帯保証人

事業を起こす場合で初期投資が必要なものについて、一括で購入することは難しい場合もあります。

そのため、起業のための資金を借り入れることがあります。

また、事業を継続していくにあたって、資金ショートを防ぐために、いわゆる商工ローンから借りる場合もあるでしょう。

このような経営が不安定な事業者の借り入れについて、個人事業主である本人だけでは与信ができず、親や他の事業者などに連帯保証人になってもらうことがあります。

賃貸借契約における家賃などの連帯保証人

賃貸借契約を結ぶ際には、親族もしくは保証会社が連帯保証人になります。

これは、滞納した家賃や、賃貸借契約をベースに発生した各種請求についての、保証をするものになります。

就職する際の身元保証人

就職する際に、就職をする人についての身元保証人というものをすることがほとんどです。

これは、就職する際に、その人が会社に対して損害を与えた時の損害賠償などを保証させるものになります。

連帯保証人がいる債務を債務整理するとどうなるか

連帯保証人がいる債務を債務整理するとどうなるのでしょうか。

当然ながら、債権者としては、債務者に対して請求をすることになります。

この時の請求は一括請求になるので、あとは連帯保証人と債権者が話し合って返済に関する条件を決めることになります。


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連帯保証人が居るときの債務整理の手段

それでは、連帯保証人が居るときには全く債務整理をすることはできないのでしょうか。

債務整理の手段について確認

債務整理といっても借金の総額と支払い可能額などによって3つの手続きの中から適切なものを選んで利用します。

全ての債務を対象にして免責をしてもらう自己破産

債務整理の中でも最も強力な手続きは自己破産です。

税金や養育費・一部の損害賠償請求などの非免責債権と呼ばれるものを除いて免責してくれるので、いち早くやり直しができるものになっています。

ただ、この手続きでは、すべての債権者を手続きに加える必要があり、連帯保証人が居るからといって手続きから抜いてもらうということができません。

ですので、連帯保証人に迷惑を絶対にかけたくないという時には利用することができません。

住宅ローン以外の債務を全て対象にする個人再生

個人再生は借金を圧縮してもらった上で分割弁済にしてもらうものです。

この手続きでは、住宅ローンを手続きから外して、通常通り支払っていくことが可能です。

連帯保証人がついている債務はあるけど、それは住宅ローンだけだ、というような場合には、連帯保証人への請求を避けられます。

しかし、それ以外の債務については一律手続きの中で取り扱う必要があるので、住宅ローン以外の債務に連帯保証人がついている場合には、やはり請求されるのは避けられません。

対象にする債権者を選べる任意整理

任意整理は、債権者と交渉をして支払いを軽くしてもらうものです。

自己破産・個人再生のように法律上の手続きによって一律の取り扱いを必要とするものではなく、個別に債権者と交渉するものです。

ですので、連帯保証人がいる債務は除いて債務整理をすることが可能です。

ただ、あくまで債務整理をした債務とその他そのまま支払い続けることができるものを支払っていけることが前提となります。

連帯保証人がいる場合の債務整理は任意整理で

以上3つの手続きの概要を見ましたが、連帯保証人がいるときで、連帯保証人に迷惑をかけたくない場合には、基本的には任意整理を利用します。

ただし、任意整理は、任意整理をしない会社とは従来通り、任意整理をする会社とは元金を上限36回程度の分割で支払っていくものです。

この支払ができない場合には、自己破産・個人再生という手段を利用せざるを得ません。

その場合には連帯保証人に迷惑をかけてしまうことはやむを得ないという事になります。

連帯保証人に請求がいく場合の処理方法

「任意整理では支払うことができなさそうです。自己破産か個人再生を検討しますが、連帯保証人に請求が行くものについてはどう処理するのでしょう」

債務整理によって連帯保証人に請求がいく場合にはどうなるのでしょうか。

求償権を取得する連帯保証人に債権の届出をしてもらうことに

上記の通り、連帯保証人は弁済によって求償権を取得します。

その債務も自己破産・個人再生の手続きの対象になるので、手続の中で処理され、免責・減額した上での分割返済になります。

少なくとも手続き期間中は支払いはできない

「連帯保証人に迷惑をかけることになった、すぐにでも分割でも返済したい」

そう考え、連帯保証人に返済をはじめる方が中にはいらっしゃいます。

しかし、自己破産や個人再生をしている時にこれをすると、特定の債権者のみを有利に取り扱う偏頗弁済行為と認定されます。

これによって自己破産や個人再生ができなくなる可能性もあるので、絶対に慎みましょう。

手続きがおわってから返済するのは自由

自己破産手続き・個人再生手続きが行われると、債務の全部または一部は免責されることになります。

手続きが終了後には、債権者は弁済として受け取ることができるとされています(自然債務)。

連帯保証人が支払えないのであれば一緒に債務整理をする

よく「連鎖倒産」という言葉を耳にすることもあるかと思います。

事業者が相互に連帯保証人になっていることがあり、一人が自己破産することによって、連帯保証債務の支払い義務を介して、同時に破産するようなケースです。

連帯保証人も支払いができないのであれば、同時に債務整理をすることを検討することになります。

かならず連帯保証人がいる場合の債務整理は早めに弁護士に相談する

以上のように、連帯保証人が居る時には、任意整理ができるかどうか、債務整理によってどのような影響が発生しうるかなどを考えながら進めなければなりません。

そのため、何もできなくなるくらいに借金を抱えてしまっている場合には、任意整理が利用できなくなって、連帯保証人に迷惑をかけざるを得ないということになります。

なるべく早めに債務整理の相談をするようにして、適切な対応を早めにとれるように心がけましょう。

参考)債務整理をしたら連帯保証人になれるのか

「私が債務整理をしたあと、子が奨学金を利用するために私が保証人になってあげられるのでしょうか?」

債務整理と連帯保証人との関連で質問の多いものになります。

なお、債務整理をした後にはブラックリストとなるので、与信が必要な行為をすることができません。

典型的には本人が貸金業者から借り入れをしたり、クレジットカードを作ることができません。

連帯保証人になる際にも信用情報を確認されるものについてはなることができないので、奨学金のようなものも無理であるといえます。

しかし、ブラックリストは任意整理で5年、個人再生・自己破産で7年程度で消えますので、それ以降であれば可能であるといえます。

まとめ

このページでは、債務整理をした時に連帯保証人との関係ではどのような事がおきるかと、その対策についてお伝えしました。

早めに相談をして任意整理で支払っていけるケースであれば連帯保証人に迷惑をおよぼさずに債務整理ができるのですが、自己破産・個人再生を利用せざるを得ないケースでは保証人への請求は避けられません。

支払いが厳しいと思ったときには早めに借金相談をするようにしましょう。

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