債務整理VSおまとめローン!それぞれのメリットデメリット徹底分析!

複数の金融業者から借金をしていて,返済の負担が大きくなってきた場合,債務整理やおまとめローンの利用を検討する人も多いと思います。

どちらも,よく耳にすることのある言葉ですが,具体的に,それぞれのメリット・デメリットをきちんと把握している人は多くないかもしれません。

しかし,適切な手続きを選択することはとても大切です。

この記事では,それぞれの手続きの特徴や,メリット・デメリットを説明しますので,自分の状況にあった手続き選択の参考にしてもらえればと思います。

また、大切なことなので最初に結論からお伝えします。

『1年以上、借金の返済総額が減っていないor増えている。』

『このまま借金を完済するのは厳しいのは分かっているけど、利息だけ毎月支払うような状態が1年以上続いている。』

このような状態になっている方は、既に黄色信号が点滅している状態です。

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それでは解説をしていきます。

おまとめローンとは

「おまとめローン」とは,複数の金融機関に対して借金がある場合に,銀行など金利の低い金融会社1社から借りたお金ですべて返済してしまい,返済先を1社にまとめることをいいます。

「借金の一本化」などと呼ばれることもあります。

これを利用すると,金利が安くなって月々の返済も軽減され,負担が減ります。

おまとめローンを利用すると,返済先が一社にまとまるので,返済日も返済先も1つになり,毎月の返済を管理するのが楽になります。

おまとめローンは債務整理ではありませんので,ブラックリストにのらないという大きなメリットがあります。

しかし,金利が少し低くなることがあるというだけで,大きく借金の負担を減らすことは期待できません。

また,利息制限法に基づく引き直し計算も行いませんので,違法に取られていた利息がある場合にも,その分を考慮しないそのままの金額で借り換えを行うことになってしまい,引き直し計算をしていれば支払わなくてよかった分まで支払ってしまう恐れがあります。

また,ブラックリストにのらないこと,おまとめローンによって完済した金融業者からまた借りることもできることもできることから,せっかくおまとめローンの利用により借金をまとめたにもかかわらず,また借り入れを繰り返してしまうというリスクもあります。

おまとめローンのメリット

1 金利が下がる
2 返済先が1つにまとまる
3 ブラックリストにのらない

おまとめローンのデメリット

1 審査に通りにくい
2 借金の負担が大きく減ることはない
3 引き直し計算の機会を失う(払いすぎた利息を取り戻せない)
4 また借り入れを繰り返してしまうリスクがある


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債務整理とは

債務整理には,いくつかの種類があります。

主なものとして,①任意整理,②個人再生,③自己破産が挙げられます。

おまとめローンと債務整理を比較する前提として,これらの手続きについて,以下,それぞれ簡単に説明します。

任意整理

任意整理とは,債権者と直接話し合いをして,借金の総額を減らしてもらったり返済方法を新しく決め直したりする方法をいいます。

借金の減額については,まず,利息制限法に基づいた引き直し計算を行います。

違法に利息を取られていた時期がある場合には,これによって借金がゼロになったり,減ったりすることがあります。

さらに,多くの場合,交渉によって利息や遅延損害金をカットしてもらいます。

返済方法については,できるだけ長い期間での分割払い(3年~5年程度が多いです。)にしてもらえるように交渉をします。

任意整理を行った場合,ブラックリストにのることになります。ブラックリストにのるとは,信用情報機関が管理・提供している個人信用情報に,借金に関するネガティブな情報(「異動情報」「事故情報」などと呼ばれます。)が登録されることをいいます。

ブラックリストにのった状態になると,クレジットカードの作成やローンの申込みを行った場合に,個人信用情報を参照した金融機関に融資を断られる(審査に落ちる)ことになります。

ですから,任意整理の場合は,ブラックリストにのるおよそ5年程度の間,新たな借り入れを行うことがほぼ不可能になります。

任意整理は,裁判所を通す手続きではありませんので,整理する借金の選択も自由です。

そのため,連帯保証人がついている借金を債務整理の対象から外したり,ローンを返済中の財産(自宅や車など)がある場合にはそのローンを対象から外したりすることで財産を守るというようなこともできます。

任意整理のメリット

1 利息や遅延損害金をカットできることが多い
2 引き直し計算により借金が減ったり過払い金請求ができたりする
3 対象とする借金を自由に選択することができる
4 財産を手放す必要がない
5 人に知られるリスクが少ない

任意整理のデメリット

1 ブラックリストにのる(新たな借り入れができなくなる)
2 それほど大きな減額にはならない

個人再生

裁判所に申し立てて,借金を大幅に減額してもらい(借金の金額や所有財産によって異なりますが,多くのケースで5分の1に減額されます。),原則として3年の分割払いで返済する再生計画を立てる手続です。個人再生を利用するためには,住宅ローン以外の借金の総額が5,000万円以下であること,将来にわたり継続的に収入を得る見込みがあることなどの諸条件があります。

また,住宅ローン特則を利用をすると,住宅ローンだけは特別に支払い続けることで,マイホームを手放さなくて済む場合があります。

個人再生手続きは,裁判所を通す手続きですので準備しなければならないことが多くありますし,利用するためには様々な条件を満たす必要もあります。

そのため,弁護士に依頼せずに手続きをスムーズに進めることは困難です。

個人再生手続きを取る場合,国の機関紙である官報に氏名等が掲載されることになります。

官報は,誰でも見ることができるものですので,個人再生をしたことが人に知られる可能性が生じるということになります。

もっとも,官報を日常的に確認している人はほとんどいませんので,官報をきっかけに人に知られるということはほとんどありません。

個人再生のメリット

1 借金が大幅に減額される
2 マイホームやその他の財産を手放さなくてよい場合がある
3 借金の理由を問われない

個人再生のデメリット

1 ブラックリストにのる
2 官報に掲載される
3 手続きが煩雑
4 減額はされるが返済自体は続けなければならない
5 保証人などに迷惑がかかる

自己破産

借金の返済ができなくなった場合に,裁判所に申し立てて,自分の価値のある財産を処分して借金の返済に充てて,それでも残った借金を免除してもらう手続です。

借金が免除されるというのが,他の債務整理とは大きく異なる一番のメリットです。

ブラックリストにのって新たな借り入れができなる点や,官報に掲載されるという点は,個人再生と同じです。

また,借金を免除してもらう(免責許可を受ける)ためには審査があり,借金の理由が浪費やギャンブルであるなどの法律で定められた免責不許可事由が存在する場合,免責を受けられず借金がなくならないケースもあります。

さらに,職業・資格制限があるなど,自己破産特有のデメリットもあります。

もっとも,この制限は,手続きが終了するまでの数カ月間だけです。

メリット

借金がなくなる

デメリット

1 財産を手放す必要がある
2 ブラックリストにのる
3 官報に掲載される
4 職業・資格制限などがある
5 保証人に迷惑がかかる
6 免責が認められないケースもある

債務整理とおまとめローンの比較

おまとめローンの利用を検討できるような人は,それほど借金の金額が大きくなく,安定した収入もある人であると思われます。

したがって,債務整理の中でも,特におまとめローンと比較されるのは,借金を大幅に減額することなく支払い続ける手続きである任意整理です。

借金の総額が大きくて返済が全く不可能になっているような場合には,デメリットがおまとめローンより大きいとしても,個人再生や自己破産を検討すべきといえるでしょう。

それでは,任意整理とおまとめローンの違いはどこにあるのでしょうか。

利息や遅延損害金のカット

おまとめローンは,借金を一本化して金利を軽減するだけであって,利息をカットするなどの効果はありません。

そのため,借金の負担はそれほど小さくなりません。

一方,任意整理の場合は,交渉次第ではありますが,利息はカットしてもらうのが一般的です。

また,返済期間を延ばしてもらうことで月々の負担を減らすこともあります。

ですから,おまとめローンと任意整理では,借金の負担がどれほど減るかという点で大きく違いがあります。

そのため,借金の負担がかなり大きい状態になっている場合には,おまとめローンで対処することはもはや難しく,任意整理を検討した方がよいかもしれません。

ブラックリストにのるかどうか

先ほどの説明のように,任意整理をした場合には,通常,ブラックリストにのることになります。

一方,おまとめローンを利用しただけでは,ブラックリストにのることはありません。

住宅ローンや自動車ローンを組む予定があるなど,どうしてもブラックリストにのりたくないという事情がある場合には,おまとめローンの検討をするとよいでしょう。

費用

任意整理とおまとめローンは,裁判所を通す手続きではないので,個人再生,自己破産とは異なり,裁判所に納めなければならない費用はありません。

もっとも,任意整理の場合には,金融業者と直接交渉を重ねる必要がありますので,通常,弁護士などの専門家に依頼することになります。

そのため,弁護士費用を支払わなければなりません。

その分,任意整理の方が借金の負担は減るので,総額では変わりがないかもしれませんが,弁護士費用の負担という違いが生じることは事実です。

返済先が1つになるか

任意整理の場合は,借金を1本化するわけではありませんので,債権者の数は減りません。

そのため,各債権者と和解が成立したあとは,その内容に沿って,それぞれの債権者に毎月返済しなければならないことになります。

おまとめローンを利用すると,1つの債権者への返済でよくなりますので,この点ではおまとめローンにメリットがあります。

もっとも,任意整理を弁護士などの専門家に依頼した場合,和解成立後の返済の代行を続けて依頼することができる場合があります。

多くの場合,1社1,000円程度の手数料を支払うことで,毎月一括して弁護士に振り込めば,弁護士がそれぞれの債権者に振り込んでくれます。

まとめ

このように,債務整理の手続きとおまとめローンには,それぞれ,様々なメリットとデメリットがあります。

借金の金額,収入の状況,どのような財産を持っているか,どのような職業についているかなど,いろいろな事情を総合的に考慮して,どの手続きをとるのがよいのか判断する必要があります。

この判断には,経験と法的な知識が必要となってきますので,専門家である弁護士に一度相談し,アドバイスを受けることをおすすめします。

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