生活保護と債務整理のどっちが先か?借金のある人が生活保護を受ける9つのポイント

今回は、生活保護と借金・債務整理との関係について知っておいてもらいたいポイントについて解説していきます。

生活保護は、憲法25条で保障される「健康で文化的な最低限度の生活」を維持するための最後のセーフティネットです。

ところで、生活保護を受給している人は、借金することはできません。

定職のない人が正規の金融機関から借金することはまず不可能だからです。

ヤミ金であっても、かなり悪質な業者でない限り敬遠する場合が多いと思います。

他方で、借金を抱えている人が突如無収入になってしまうことは、十分起こりうることです。

たとえば、勤務先が突然倒産し、収入が途絶えたときには、「ハローワークに通いながら生活保護を受け、現在の借金を何とか返済しながら食いつなぐ」ということを考える人もいるかもしれません。

しかし、実際には、借金を抱えていると生活保護を受給できない場合が少なくありません。

ウェブでも「自己破産しなければ生活保護を支給できない(支給を打ち切る)」とケースワーカーや社会福祉事務所から言われたという体験談を目にすることもあります。

自己破産と聞くと身構えてしまい、生活保護の受給も借金返済も諦めてしまう人もいるかもしれません。

低所得・無収入の人の自己破産は、ほとんどデメリットがありません。

また、生活保護を受ける場合でも自己破産せずに任意整理で解決できる可能性がゼロというわけではありません。

債務整理を数多く引き受けている弁護士・司法書士には、生活保護制度に詳しい人も少なくありません。

あきらめずにまずは相談してみることが大切です。

また、大切なことなので最初に結論からお伝えします。

『1年以上、借金の返済総額が減っていないor増えている。』

『このまま借金を完済するのは厳しいのは分かっているけど、利息だけ毎月支払うような状態が1年以上続いている。』

このような状態になっている方は、既に黄色信号が点滅している状態です。

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それでは解説をしていきます。

借金があると生活保護を受けられないのか?

「借金があると生活保護を受けられない」とか「借金のある人が生活保護を受けると自己破産しなければならない」といったことをよく耳にします。

そのため、生活保護受給申請を躊躇してしまう人も少なくないようです。

生活保護が受給できるかどうかは、それぞれの具体的ケース(生活状況・財産状況・申請した自治体の方針)によってかなり差があります。

ネットで目にする体験談や、知人のケースがあなたのケースと全く同じということは、実際にはあまり多くないと思います。

まずは、生活保護制度の根拠法である生活保護法の規定に基づいて、生活保護と借金との関係について整理しておきましょう。

生活保護の受給条件

生活保護制度の受給条件は、次の4つです。

・財産がない
・家族や親族からの支援を期待できない
・働きたくても働けない事情がある(働く意思がない人は生活保護をもらえない)
・上記3つを満たした上で、世帯収入が水準以下(月11万円~13万円以下が目安とされています)

「借金がないこと」というのは、厳密には生活保護の受給条件とは関係ありません。

生活保護受給と借金との関係

借金があると生活保護の受給の障害となるのは、「生活保護制度の目的」に関係します。

生活保護は、「困窮のため最低限度の生活を維持することのできない」人が次のものを保持するために支給されるものとされています(生活保護法11条~18条)。

・衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの
・義務教育に伴って必要な学用品や通学用品、給食費など
・住居の確保、補修その他維持のために必要なもの
・医療・介護受けるための費用
・出産のための費用
・生業に必要な資金、器具・技能の習得、就労に必要なもの
・葬祭の費用

借金を抱えた人に生活保護を支給すれば、借金返済に充てられる可能性があります。

借金返済は、「間接的な資産形成」につながるので、「最低限度の生活を維持するための支援」という生活保護の目的に反すると考える余地があります。

また、近年では、「生活保護の不正受給」が話題になることも少なくありません。

そのため、自治体の対応が慎重・厳格になっている傾向もあります。

債務整理と生活保護受給はどちらを先にすべきか?

借金を抱え無収入になってしまった人が、「債務整理と生活保護のいずれを優先させるべきか」というのは、非常に難しい問題です。

「再就職できる見込みやその時期」、「借金の額」といった事情によって結論が異なり得るからです。

専門知識のない一般の人が、ウェブなどだけの情報で独自に判断することは危険な場合が少なくありません。

まずは、弁護士・司法書士に相談してみることが大切です。

ただ、基本的には、借金を抱えている人が無収入(借金を返済できないほどの減収)になったときには、速やかに債務整理を依頼すべきでしょう。

弁護士・司法書士に債務整理を依頼すれば、一定期間の間借金返済をストップさせることができるからです。

諦めて借金を放置してしまうのは、問題を深刻化させるだけなので最もよくない対応です。


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借金のある人が生活保護を受けるために知っておきたい6つのポイント

「お金に余裕がない」のは、精神的にも辛いものです。

収入が途絶えて生活するのも大変な状況になれば、どうしてもネガティブな気分になってしまいます。

「お金がなければ債務整理(自己破産)もできない」を諦めてしまっている人は、実際にも少なくないようです。

しかし、債務整理は「お金に困っている人の救済手段」なので、全くお金がない人であっても債務整理できる手段がきちんと用意されています。

「低収入・無収入」でも債務整理は可能

「アルバイト生活では債務整理はできない」と思い込んでいる人も多いようですが、そんなことはありません。

アルバイトや派遣・契約社員であっても、自己破産以外の方法で借金を解決することは可能です。

また、全く収入がない場合であっても、自己破産できるのであれば、借金を解決することができます。

債務整理は、借金額、収入・所有財産の状況に応じてさまざまな方法から最善の方法を選択することが大切です。

たとえば、「毎月1万円ずつなら長期間の分割でも返済できる」のであれば、60万円までの借金なら「任意整理」で解決できる可能性が高いといえます。

また、「5年で100万円(毎月16,667円)なら返済できる」のであれば、500万円の借金であっても「個人再生」で解決できる可能性があります。

債務整理の相談のほとんどは「無料」

債務整理に詳しい弁護士・司法書士は、生活保護をはじめとした生活支援のセーフティネットに精通している場合がほとんどです。

弁護士・司法書士に相談すれば、借金の相談だけでなく、それぞれのケースに応じた最もふさわしい支援制度も紹介してくれると思います。

また、生活保護の申請に際しても、「すでに弁護士に債務整理(自己破産)の相談をしている」ことは、有利に働く場合が多いでしょう。

弁護士や司法書士に相談する際には、通常は30分5,000円(60分1万円)といった相談料がかかります。

しかし、債務整理・借金の相談であれば、「初回無料」という事務所がほとんどです。

また、事務所によっては、何度相談しても無料という場合もあります。

手元にお金が全くない場合であっても、「とりあえずどうすべきか?」ということを相談することが可能です。

法テラスの民事法律扶助を利用する

債務整理をするには、一定の費用がかかります。

「債務整理の費用を工面できない」からといって債務整理することを諦める必要はありません。

法テラスが実施している「民事法律扶助」は、生活が苦しい人のために、債務整理にかかる費用の立て替え払いをしてくれます。

立て替えてもらった費用は、立替払いの2ヶ月後から「毎月1万円ずつ」返すのが原則です。

しかし、生活が苦しい場合には、毎月の返済額を5,000円にすることができます。

さらに、債務整理が終了したとき(免責確定・和解締結のとき)に生活保護の支給を受けていれば、「立替金の返済が免除」となります。

つまり、法テラスを利用して債務整理をしてから生活保護の支給を受ければ、「1円も負担することなく」借金を解決することができます。

なお、民事法律扶助は、直接法テラスに申込みをしなくても、債務整理を依頼した弁護士・司法書士経由で利用することもできます(いわゆる持ち込み方式)。

法テラスに直接申し込めば、相談・債務整理着手まで時間がかかるだけでなく、弁護士・司法書士を自分で選べない点で不利です。

まずは、自分が納得・安心して相談・依頼できる弁護士・司法書士をみつけましょう。

生活保護受給者の自己破産はほぼデメリットがない

費用の心配はなくても「やっぱり自己破産はいや」という人もいるかもしれません。

たしかに、「自己破産」ときいて良い印象を持つ人は少ないでしょう。

しかし、生活保護を受けられる(ほどに家計が苦しい)人であれば、自己破産をしても全くデメリットがない場合がほとんどです。

たとえば、生活保護を受けられる人であれば、自己破産しても差し押さえられる財産をそもそも全くもっていません。

また、自己破産しても、他人に知られるリスクはほとんどないでしょう。

官報に氏名・住所が掲載されますが、一般の人は官報をみていません。

むしろ、最も熱心に官報を読んでいるのは、ヤミ金業者です。

そのため、自己破産をすると「ブラックでも借金できる」という触れ込みで金融機関からダイレクトメールなどが届くことがあるので注意しましょう。

自己破産が再就職に影響する場合

生活保護の申請を考えている人にとって、最も大切なのは「生活を建て直す」ことです。

ケガや病気などで「働きたくても働けない」場合を除けば、再就職活動をすることも生活保護を受ける条件となります。

自己破産をしても基本的には再就職に影響はありません。

履歴書に過去の自己破産歴を書く必要も、面接の際に申告する必要もありません。

また、採用先が信用情報を照会することもできません。

信用情報機関に加盟している金融機関以外は信用情報を照会できませんし、採用のための照会は目的外利用となり禁止されているからです。

しかし、警備員や保険外交員として働くことを考えているときには、「自己破産する時期」に注意する必要があります。

破産手続きの開始から免責確定(復権)までの間は、警備業に従事することや、保険外交員として新規に登録することができないからです。

これらの制限は、「免責確定」によってなくなるので、できるだけ早く自己破産した方が再就職への影響も小さくすることができます。

万が一、すぐに「再就職できそう」という場合であれば、そもそも自己破産する必要すらない場合もあるでしょう。

弁護士・司法書士が債権者と任意整理の交渉をしている間に、再就職がまとまる見込みがあり、就職すれば借金を分割で返せるケース(生活保護を受けるのが数ヶ月に過ぎないケース)まで、ケースワーカーが自己破産を強要することはあまりないと思われます。

「生活困窮者自立支援制度」を利用してみる

収入が途絶えたり、減収になったことなどで「生活が苦しい人」のためのセーフティネットは、生活保護だけではありません。

最近では、自治体などによるさまざまな支援の取り組みがあります。

「生活困窮者自立支援制度」は、平成27年4月から実施された新しい支援制度です。位置づけとしては、生活保護よりももう一段軽い支援とイメージしておけばよいでしょう。

生活困窮者自立支援には、次のような数多くのメニューがあります。

・自立相談支援事業
・住居確保給付金の支給
・就労準備支援事業
・.認定就労訓練事業
・家計相談支援事業
・生活困窮世帯の子どもの学習支援
・一時生活支援事業

生活困窮者自立支援では、「借金問題の相談」も積極的に引き受けているので、「自己破産しなければ支援しない」、「借金があれば支援しない」ということはありません。

債務整理の相談については、「家計相談支援事業」として対応しています。

また、失業したために家賃が支払えないときには、「住居確保給付金」の支給を受けることで対応が可能です

生活困窮者自立支援制度の詳細や相談窓口については、下記の厚生労働省のウェブページも参考にしてください。

生活困窮者自立支援制度(厚生労働省ウェブサイト)

まとめ

借金の返済だけでなく、生活にも行き詰まってしまうと絶望的な気分になりがちです。

しかし、収入が途絶えた場合でも生活を建て直すための支援の仕組みはたくさん用意されています。

あきらめずに、弁護士・司法書士(もしくは最寄りの自治体)に相談してみることが何よりも大切です。

返せなくなった借金をそのまま放置しておけば、生活再建の大きな障害となってしまいます。

生活が行き詰まった人にとって、債務整理は、デメリットがほとんどない場合が多いでしょう。

弁護士・司法書士に債務整理を依頼すれば、返済と取立てから解放され静かな生活を取り戻すこともできます。

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借金問題は相談がしにくいため、自分1人だけで抱え込んでしまう方は非常に多いです。
でしが、借金問題は後回しにすればするだけ事態は悪化するだけで良い事は一つもありません。

借金問題は、専門家に相談することで思っているよりも簡単に問題を解決し新しい生活を送ることができます。
実際に、借金問題を解決した多くの人が『こんなに簡単に終わるならもっと早く相談しておけば良かった』と言います。
取り返しのつかなくなる前に、1日も早く相談を行い借金に苦しまない新しい生活をスタートしましょう。


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