共働きなら、夫婦それぞれが借入をする「ペアローン」を利用して住宅を購入しているケースもあるはずです。
しかし、ペアローンを組んだ後に収入状況が変化し、一方のローン返済が苦しくなったというご家庭も多いのではないでしょうか?
借金の支払いが困難になったら、債務整理で問題の解決ができます。
けれど、ペアローンを抱えた状態で債務整理をするとなると、住宅がどうなるのかが心配です。
「できれば住宅を残したまま債務整理したい!」という人も多いでしょう。
本記事では、ペアローンを組んでいる場合の債務整理について詳しく説明します。
「債務整理を考えているけれど住宅は残したい」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。
また、大切なことなので最初に結論からお伝えします。
『1年以上、借金の返済総額が減っていないor増えている。』
『このまま借金を完済するのは厳しいのは分かっているけど、利息だけ毎月支払うような状態が1年以上続いている。』
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それでは解説をしていきます。
そもそも、ペアローンって何?
ペアローンとは、夫婦で住宅を購入する際に、両方が購入資金を借入する方法です。
ペアローンを利用すれば、1つの物件に、住宅ローンが2つ設定されることになります。
住宅ローンを1人ずつ組むのがペアローン
夫婦で住宅を購入する際には、収入が多い方が借入をするケースが大部分だと思います。
一般には、夫が住宅ローンを申し込むことが多いでしょう。
夫1人の収入では住宅ローンの審査に通らないときに検討すべきなのが、夫婦で借入する方法です。この場合には、収入合算かペアローンのどちらかになります。
収入合算
夫婦の収入を合算した額を基準にして住宅ローンの審査をしてもらう方法です。
収入合算では、次の2つのパターンがあります。
①一方が主債務者、他方が連帯保証人(住宅は主債務者の名義)
②双方が連帯債務者(住宅は共有名義)
ペアローン
夫婦それぞれが別々に住宅ローンを借入する方法です。
ペアローンでは、同じ住宅に2本の住宅ローンが組まれることになります。
ペアローンを組むときには、夫婦とも各自の住宅ローンの主債務者となり、お互いに相手のローンの連帯保証人にならなければなりません。
住宅の名義は夫婦共有となります。
ペアローンのメリットとデメリット
ペアローンを利用すれば、1人だけの収入では借りられない金額を借りられます。
ワンランク上の物件を購入できるのは、魅力と言えるでしょう。
しかし、ペアローンを組むと、一方の収入が減ったときに、途端に支払いが厳しくなることがあります。
最初は夫婦共働きでも、妻が途中で仕事をやめることはよくありますから、リスクは大きいのです。
ペアローンを1人が滞納したら家を失うリスクがある
住宅ローンを組むと、住宅に金融機関の抵当権が設定されます。
ペアローンでは、抵当権も2つ設定されます。
抵当権とは、ローンが支払われない場合に、住宅を競売にかけてお金を回収できる権利です。
ペアローンを組んでいる場合、夫が住宅ローンを滞納すると、夫の持分が競売にかけられるリスクがあります。
妻の持分は、理屈上は影響を受けません。
しかし、住宅の持分だけ買う人は普通いませんし、夫の持分だけ競売にかけられることも通常はありません。
そもそも、ペアローンでは妻は夫の連帯保証人です。
夫が住宅ローンを滞納すると、夫の持分が競売にかけられるよりも前に、妻は支払いを請求されます。
妻が夫のローンを支払えば家全体を守ることができますが、払えなければ家全体が競売にかけられるでしょう。
ペアローンがあるなら夫婦一緒に債務整理が基本!
夫婦ともに借金がある場合、一方だけが債務整理することも手続き上は可能です。
しかし、ペアローンを組んでいるなら、夫婦一緒に債務整理した方がよいでしょう。
夫婦とも借金があれば一緒に債務整理した方がいい
夫婦ともに借金がある場合には、一般には、夫婦同時に債務整理をした方がよいと言えます。
結婚している夫婦の家計は基本的に同一です。
1人だけが債務整理をしても、その世帯の借金問題の根本的な解決にはなりません。
なお、夫婦でお互いに借金の連帯保証人になっている場合には、夫婦揃って債務整理すべきでしょう。
たとえば、夫だけが債務整理をしても、妻のところに請求がきます。
妻も借金を払えなければ、結局、妻も債務整理をせざるを得ません。
ペアローンがある場合には住宅を残すかどうかで判断
債務整理には、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産という種類があります。
ペアローンを組んでいる場合、どの債務整理方法を選ぶかで、夫婦一緒に債務整理すべきかどうかが変わってくる点に注意しておきましょう。
任意整理と特定調停を選んだ場合には、住宅ローンは対象外で、整理する借金を選べます。
お互いが連帯保証人になっている借金を除き、1人だけが債務整理をしても特に問題はありません。
一方、個人再生や自己破産を選ぶ場合には、原則としてすべての借金が対象になります。
ペアローンを組んでいれば、お互いに影響が出てしまいますから、注意が必要です。
ペアローンで住宅を残したいなら個人再生を考えよう!
個人再生には住宅ローンを除外できる住宅ローン特則があります。
ペアローンを組んでいる場合には、夫婦ともに住宅ローン特則付きで個人再生申立てしなければなりません。
住宅を残すなら住宅ローン特則を付けて申し立てる
個人再生は、原則的に抱えている借金の全てが対象になります。
住宅ローンを組んでいる場合には、住宅ローンも整理しなければなりません。
つまり、住宅を手ばなす必要があるということです。
しかし、これには例外があります。住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を付けて申立てした場合には、住宅を除外して借金を整理することが可能です。
個人再生でペアローンを組んでいる住宅を残す方法は?
ペアローンを組んでいる住宅を手ばなしてもよいなら、1人だけ個人再生を申し立てるのでもかまいません。
一方、住宅を残したい場合には、夫婦の両方が住宅ローン特則を付けて個人再生を申し立てる必要があります。
ペアローンを組んでいる場合、一方だけが住宅ローン特則付きの個人再生をすることは、多くの裁判所で認められていません。
ただし、夫には住宅ローン以外の借金があるけれど、妻には住宅ローン以外の借金が全くないような場合には、夫だけの住宅ローン特則付き個人再生を認めている裁判所もあります。
ペアローンがあれば1人の自己破産で住宅を失う可能性が高い!
ペアローンでは、夫婦はお互いに連帯保証人です。
さらに、一方が自己破産すれば、住宅の処分が問題になります。
一方の自己破産が他方に影響を与えることは必須です。
1人が自己破産しても住宅を残せる?
アローンを組んでいる場合、夫が自己破産すると、夫のローンはなくなります。
しかし、妻のローンはなくなりません。また、妻は夫の連帯保証人ですから、夫のローンの請求も受けます。
住宅を手ばなしたくなければ、妻が夫のローンも合わせて支払わなければなりません。
しかし、住宅の名義を妻1人にし、妻がローン全額を支払う形にするには、金融機関や夫の破産管財人との交渉が必要です。
実際には、簡単に名義変更できるケースは少なくなっています。
住宅を手ばなすにしても問題が大きい
ペアローンを組んでいる場合、一方の自己破産の他方への影響は避けられません。
夫が自己破産すれば、妻は連帯保証人として請求を受けます。
競売や任意売却で住宅を手ばなしても、借金が残れば払わなければなりません。
信用情報にキズがつき、ブラックリストに載ってしまうことにもなってしまいます。
ペアローンがある場合の自己破産は慎重に検討しましょう。
まとめ
ペアローンを組んでいる場合、夫婦の一方が債務整理をすれば、他方に影響が出ることが多くなっています。
特に、住宅を手ばなしたくない場合には、注意が必要です。
ペアローンの場合、たとえ自分がローンを払っていても、相手の債務整理で住宅を失ってしまうことがあります。
ペアローンがある場合の債務整理は、弁護士などの専門家に相談した上で手続きしましょう。
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